第十話 大きな影
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海が広場を去った直後、本部テントからラスランが顔を出す。魔族兵は敬礼をとった。
ラスラン『なんの騒ぎだ?』
魔族兵A『はっ!こちらを偵察していた聖王国の兵士を捕えましたので、それかと。』
ラスラン『第四席の来客の声が聞こえたが、、、。』
魔族兵B『つい先程、捕虜達と何やら口論を起こしまして、その後すぐにテントに戻っていきました。』
ラスラン『了解した。捕虜達は原則どうり、対応しろ。』
魔族兵一同『はっ!』
ラスラン (一応第四席に報告だけしとくか。)
丸くなる、丸く、うずくまる。今度はさらに深く、少女世界に落ちていく。落ちに行く、、、。
私じゃない。関わっていない。見えなかった。見ていなかった。私じゃない。私は関係ない。巻き込まれた。私じゃない。私じゃ、、、。
ポンッ
頭に優しい重みがかかる。
ライジュ『海、大丈夫?、、、怖かったね。』
純粋愛、紛れもなくそれを、今、私は、めいいっぱいに注がれている。
そうだ、私は、、、。
この人の、赤子だった。
顔を上げる。
近都海『ラ、イジュ、、、。』
私は両手を広げる彼女の、その懐に勢いよく飛び行った。ライジュは優しく、力強く、それを受け止めた。
彼女は何も言わなかった。
この人の、この人の影にさえいれば、私は、、、。
私は、あまり喋らなくなった。
翌朝。捕虜達は昨晩のうちに、自ら地面に頭を打ちつけ自殺した。情報を引き出すことは叶わなかったらしい。
その数日後、魔王軍本体から二百の援軍が到着。一日おいて前哨基地の建設が始まった。
そして二週間後、前哨基地は完成した。
その間私は、常にライジュの背後に、身を潜めるようにしていた。私は、挨拶と礼、最低限の受け答えしかしなくなっていた。それでも、ライジュは私を愛で続けたし、ハルステリウルやラスラン、他の魔族兵も、まるで姪っ子ができたかのように、私を扱った。
前哨基地完成から三日後、再びライジュに魔王城からの便りが届いた。
ーーーーーーーーーー召集令ーーーーーーーーーーー
夏至と冬至の丁度間の日、大魔九天王一同は、
魔王城へ集結せよ。
定例報告会議も執り行われるため、
その準備欠かすことのないよう。
魔王 ヘルウェイド・ドクトロード
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ライジュは手紙をしまい背後の私を見て笑う。
ライジュ『海ちゃん!魔王様に挨拶に行こうか!』
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次回 測風士
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