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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第四章 帝国激震編
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第一話 突撃はつらいよ②

 翌朝、打ち合わせを済ませ検問所へと向かった。わざわざ戦場へ赴く者は少ないのだろう、検問待ちの列は数組だった。それでも先頭にいた商人風の男が別の場所へと連行された。


 リラは思わず身体を固くした。

 しかし大丈夫、と寅二郎が呟き、

 シドも半歩寄り添っていた。


「次」


 いよいよリラたちの番が来た。

 リラが引きつった笑顔で、恐る恐る、証を手渡す。


 検問所の兵士が文面を読んでいる。

 その“間”が長く感じられ、息をのむ。


 兵士は三人を見回すと、リラに尋ねた。

「名は?」

「トングです」

「後ろの二人は?」

「護衛に雇った冒険者さんです」

 リラが振り返ると、

 二人が腕を組みふんぞり返っていた。


「ふん」

「ふふん!」


 やたらと鼻息の荒い寅二郎とシド。


 別の兵士を呼び、何やら話し込む様子にリラの頬から汗が滴る。さらに別の兵士もこちらへ来るのが見え、リラの心臓が早鐘を打つ。


その時、


ドオン!


 遠くで爆発音が轟いた。


「ちぃ。行っていいぞ」

 と、証を返され三人の通行許可が出た。


 門を抜けしばらく歩くと、

 緊張が解けたのかリラが笑い出す。


「何よ、あの恰好。ふんぞり返ってバカみたい」

「何だよ、効果覿面だっただろ?」三人で笑い合った。


しかし、戦場はゆっくりと動き出していた。


 爆音轟く戦場では、

 レオン大将軍率いる帝国軍が、“魔王軍殲滅作戦”に向けコルダ丘陵の麓に陣を張っていた。


「この時期に魔弾銃部隊を投入せよ、だと!

 やつらは研究員だぞ。帝国の“民”だ!

 皇帝陛下は何を考えておられるのか」

 レオンはいつになく声を荒げていた。


「今の発言は聞かなかったことにいたします。大将軍」

 副長が直立不動の姿勢で言った。


「構わん。現場の指揮官は俺だ。

 その程度の罪など後でいくらでも受けよう」


(しかも魔弾銃は最終段階、

 つまり完成はしていないということ。解せぬ)


「部隊の責任者を呼べ。魔弾銃の詳細を確認したい」


 20人から成る魔弾銃部隊、

 その部隊長として呼ばれたのは学者然とした若者だった。


「魔弾銃の性能は?射程は、威力は、どれほどか」

「射程も威力も、従来の魔法を超えます。予定では、ですが」

(……予定とはな。目を見ればそれなりの覚悟を感じるが、しかし)


「お前たちは“切り札”だ。

 私からの指示があるまで発砲を許可しない。出来るな?」


 レオンはやはり彼らを“使う”ことをためらった。

 後方支援の形で置くことにした。


(時折、放たれる極大魔法。大物の気配もある。

 俺がやるしかない、か――)


レオンは丘陵の頂を見据え、拳を握りしめるのだった。

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