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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第三章 ガルディア帝国編
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第八話 侵入はつらいよ①

「忘れてない?主人公は俺だよ?」

「誰に言ってんだ」


 帝国軍事技術研究所へと入る段取りを探していた寅二郎たち。警備の配置や出入りする人間のルーティーンも把握した。特に今はコルダ丘陵での戦に向け、人の出入りが多い。敷地内の見取り図もマーリンの密書に残されており、あとはタイミングだけだった。


「よし、やるぞ」


 シドが言うと、研究所から三人の兵士が出てくるところだった。見張りの兵士と挨拶を交わして街へと歩いていく兵士たちに続き、寅二郎たちはそっと後ろを付いていった。


 見張りに見えない角を曲がった辺りでシドが走り寄り、声も上げさせず二人の腹を打ち昏倒させた。同時に、寅二郎が残りの兵士の首を絞めたまま、路地裏へと引きずって行った。


「さて、着替えよう」

「おう」

「ごめんなさい」


 下着姿に剥いた兵士たちを縛り、

 積まれた箱の裏へ並べ、

 寅二郎たちは兵士の服装に着替えた。


「やっぱり胸のあたりが苦しいわね」

 リラがしきりに胸を気にする。

「さらしで締め上げてみるか?」

 シドが言うと、

「手伝ってあげようねぇ、リラちゅわん。あ痛っ」

 寅二郎の脛が蹴られていた。

「バカやってないで行くぞ。見張りの交代の時間だ」

 シドの言葉で皆、

 帽子をかぶると来た道を取って返した。


 角を曲がると、ちょうど見張りの交代の時間だったようだ。立っていた二人の後ろから交代の二人がやって来ていた。


「ご苦労様です」


 と、その交代のどさくさにまぎれ、

 代わった二人とともに所内に入ることに成功した。


 それでもリラの鼓動は早くなっていた。

 ごくりと唾を飲む音がやけに大きく感じたが、

 二人が別の方向へ行くのを見ると息を吐いた。


「第一段階は成功、よね」

「そうだな、次もシド、頼むぜ」


「ああ、こっちだ」


 シドは頭に建物の地図を思い浮かべ迷いなく歩いていく。二人も違和感を感じさせないよう気を張り続く。“関係者以外立ち入り禁止”の張り紙の付いた扉の前でシドが立ち止まった。


「ここだな」

 シドがあたりを見回し、二人に言った。

「覚悟はいいな?」

 二人が頷くのを確認し、そっと扉を開いた。


 そこは地下へと続く階段になっていた。

 極秘の《魔弾銃研究室》とはいえ、

 トングたち研究者が活動しているはずなのに。


――下から流れてくる風に寅二郎は不吉を感じていた。



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