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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第三章 ガルディア帝国編
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第七話 勇者PTヴァルニスへ行く⑥

 初対面でのセクハラ祭りに疑惑の目を向けるアンナたち《暁の翼》。しかしその視線もどこ吹く風、弟子から治療を受けながら、トンペティは言った。


「お主たちが、日々真面目に研鑽を積んでおるのは分かった」


「え?」アンナたちが驚きの声を上げる。


「体つきを見れば、分かるものじゃよ。

 そこで、お主たちへの修行の方向性が見えた」


 先程とは打って変わって真面目な表情にアンナたちが息をのむ。


「今から街へ行き、水着を買ってくるように。

 ビキニじゃよ。ビ・キ・ニ!」


「はぁ?」


 真面目に修行が始まるのかと思いきや、水着を買って来いとは。アンナたちの頭の中は“?”でいっぱいになったが、渋々買い出しへと向かった。


 さすがは海沿いのリゾート地、すぐに海産物を取り扱う屋台や、土産物屋が並ぶ街へと出た。そこで水着を扱う店を見つけ中へと入った。

 

「はぁ。どういうつもりかわからないけど、

 これはこれでいいんじゃない?」


 ヤスコは意外に乗り気の声を上げた。


「だよね!いろいろかわいいのがそろってる」


 リルルが一着持ち上げ声を上げた。


「実は私、水着って買ったことがなくて…」

「ああ、私も学校指定の物しか持っていなかったな」


 ユキナとアリアも前世を思いながら辺りを見回している。アンナは、


「あの爺ぃ、何のつもりよ。『ビキニしか駄目』だなんて」

 と口では言いながらも、

 次々と水着を取り上げては、目を輝かせている。


 そんな微笑ましいリーダーの姿に一同も微笑み、

「よし!みんな決まったね!じゃぁ行こう」

 とアンナの号令の下、水着を買って店を出たのだった。

 

 屋敷で水着に着替えた一行は、トンペティの待つビーチへとやって来た。


「うほほ、眼福じゃのぅ」


 サングラスをずり下げ、トンペティが喜びの声をあげた。


アンナは髪の色と合わせた赤いビキニ。少し日焼けした肌によく似合っている。

アリアは青と白の縦ストライプ柄、そのせいか普段よりスリムに見える。

リルルはひまわりモチーフの黄色と茶色のチェック柄、フリル付で可愛らしい。

ヤスコは黒で紐の結び目に輪っかの付いたセクシー系、大人の色気を感じさせた。

ユキナは純白、神聖でありながらどこか背徳感が漂っている。


「で、これから私たちは何をすればいいんですか?」


「うむ、お前たちにはマナ操作の基本、マナの流れを感じてもらう」

 そういうと、トンペティは五人を波打ち際に立たせた。


「行くぞ!……ふん!」


 トンペティが気合を入れると五人に大気の圧が押し寄せ、吹き飛ばされた。


「きゃぁ!」どぼんとアンナたちは海へと放り込まれ、

「これは?」とアンナがすぐに立ち上がる。


 トンペティの秘められた力、その一端に触れ、冷や汗をかいていた。


「感じたか?今のはわしがマナを気合に変換し、

 大気を震わせたわけじゃが、もう一度行くぞ」


 再び圧が押し寄せる。しかし、今度はアンナの周り、腰までつかった海水も震えているのが感じられた。


「マナとは世界を流れる潮のようなもの。

 波を読めぬ者は、技も扱えぬ」


「このマナの流れを掴めれば、こういったことも出来る」

 トンペティも海へとつかり、目をつむると、


「はぁ」気合とともに海面へ手刀を繰り出す。


瞬間、世界から音が消え、


――海が割れた!


ゴパッ


と音を立て海水が立ち上ると、100メートルほどだろうか地面が顔を出していた。


「今のも使い方の一端でしかないが、まずはマナの流れを感じよ。

 明日から海へ入りいつもの稽古をすべて海の中でせよ。防具は無しでの。

 ほっほっ、今日は帰るぞ」


 と、言いながら屋敷へと帰るトンペティ。


 後を追いながら今の出来事を思い出すアンナたち。

「私泳いだこと無いんですが、大丈夫かな」ユキナが不安を口にする。

「じゃぁそれも含めて修行だな、ははは」アリアが軽く笑い飛ばし、

「もぅ他人事だと思ってぇ」珍しくユキナがぷんすか怒っている。


(マナ操作の基本……流れを感じる)


 トンペティの圧、海水から感じたマナ、アンナは濡れた髪をかき上げながら、

(明日から、絶対ついていく……!)

 と静かに拳を握るのだった。

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