↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第八章 魔王無き世界編
291/293

第十一話 異世界はつらいよ①

《バベルの塔》、頂上での決戦の幕は降り、

 ようやく寅二郎も立ち上がった。


「皇帝さんよ、あんたも結局“人”だったってことだよ」

 そう呟き、右手に持った“ニューナンブ”を見つめた。


「あ~あ。こいつも弾を撃ち尽くしたし、

 本当に“お守り”行きだなぁおい――」


 そう言って左脇のホルスターに“ニューナンブ”を仕舞う。

 その寅二郎の背中で、


「見つけたぞ!」アリアが嬉しそうに走ってくる。

 胸元に大事そうに抱えているのは、

《点火の腕》を握ったままのシドの右腕だった。


「ありがたい」リラから治癒魔法を受けているシドが振り返り、

「ちょっとシド!まだ動かないで」と、リラから叱られている。


 アンナたち《暁の翼》と寅二郎一行が揃ったところで、


「これで一件落着。……だな」と寅二郎が言った。


「そう……よね」アンナはそう答えるも、

(私たちは信じた道を歩いてる。だけど……なぜだか剣が重い)

 そう思い、顔を伏せる。


 ガルディア帝国皇帝レギウス三世崩御――。

 それは紛れもない事実。

 そしてそれはこれからの帝国に混乱をもたらす。


 ただ一人、沈んだ表情を浮かべるアンナ。

 アンナのそんな表情を皆に見せないためだろう、ヤスコが声を上げた。


「さぁこっからはヤスコお姉さんの出番だね」


 そう言って、ヤスコが頂上へと走る。

 皆がそちらに目をやり、しばし。


「お待たせ」そう言って、ヤスコが何やら肩に担いで降りてきた。

「ヤスコ、その肩の荷物、何?」アンナが声をかける。


「ん?ああ、レギウス三世の遺体、だよ」


 ヤスコのセリフに一同が固まる。


「まぁ、これからのことは、

 《光輪の乙女たち》の“黒”。松風ヤスコにお任せあれ」


 あくまで陽気に言ってのけるヤスコ。その陽気さに一同毒気を抜かれたのか、あえてそれ以上は触れようとしない。


「ああ、疲れたぜ」寅二郎がボヤキ、

「馬鹿!シドが治ったらぶん殴ってあげる」リラが叱る。


 いつもの和やかな雰囲気に包まれ、麓に降りると、


「“勇者”アンナよ!何があったというのだ!」

 口角泡を飛ばす、を地で行く参謀本部将軍ゴールドール。

 そして、他の参謀本部将軍連中が勢ぞろいで待っていた。


「そ、それが……」口ごもるアンナに代り、


「将軍御一同! 大変です!

 皇帝陛下が、レギウス三世陛下が!

《バベルの塔》で“魔族に暗殺”されました!」


「な、何だとぉ!」驚愕に震える将軍たち。


「ちょ、ちょっとヤスコ!」


 前に出ようとするアンナを、ヤスコが制する。


(いいから。後で顔貸して……)


 とアンナにだけ耳打ちし、「さぁ詳しくはこちらで!」とヤスコはレギウス三世の遺体を担いだまま、レギウス城へと入って行く。


「何だってんだ?ありゃぁ」

 寅二郎が頭の後ろで手を組み、のんきな声を上げる。

 しかし、アリア、シド、察しの良い二人はぐっと歯を噛みしめている。


そして、ヤスコに耳打ちされたアンナも、

今はただ、ヤスコの背を目で追い続けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。