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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第八章 魔王無き世界編
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第十話 決戦はつらいよ⑥

《バベルの塔》から三魔将の影が消え、

「よくやった、アンナたち」寅二郎が言う。


 しかしその目は、レギウス三世に向けたままだった。


「ふむ、所詮奴らはこの世界のバグ。

 朕の創る“完全なる世界”には不要のものだった。という訳か」


 レギウス三世は何事も無かったかのように言ってのけた。


「皇帝陛下。いやレギウス!

 あなた、それでも……」


 アンナが叫ぶその最中、


「危ない!」アリアが盾で“ソレ”を弾く。


「!?」アンナが目を見開く。


 あらぬ方向から、光線が発射されたのだ。


「この“新世界”の主たる、朕に対し不敬であるぞ」


 レギウスの放つ圧が一段と強まる。

 しかし、その圧を振り切るように、


「《サンダーボルト》!」リルルが雷属性魔法を放つ。

 レギウスは右手でそれを払いのけ、そこへアンナが斬りかかる。


「ふん」レギウスはそれも右手で受け流した。


 受け流され、たたらを踏んだアンナだが、

 そのまま走り抜け態勢を立て直す。


「やっぱりな」


 そんなアンナたちのやり取りを見ていた寅二郎が言った。


「どういうこと?トラジロウ」剣を構えながらアンナが問うた。


「ああ、悪い」寅二郎も剣を構え答えた。


「あいつ、右手、つか右側半分、おかしくねえか?」


 そう言いながら、寅二郎もレギウスに斬りかかった。


キイィーン


 寅二郎の剣を受け止めた“右手”が金属音を立てる。そして、ビィッ! 今度もレギウスとは別の方向から光線が飛び、寅二郎を襲う。


「おっと」寅二郎がしゃがみ後ろへ下がる。


「こいつの固さ。それに出所不明の光線……」

 寅二郎が言うのに合わせ、アンナたちも身構える。


「この謎が解けなきゃ、こいつはぶん殴れそうにないな」


 寅二郎のセリフに、


「フハハハ! 謎? 謎だと言ったか?」レギウスはそう笑った。


「これは謎などでは無いな。

 これは“事実”だ!この“新世界”の主が朕である。……というな」

 そう言うと、レギウスの右半身が黒く染まっていく。


「お前!それ、まさか!」寅二郎が声を上げる中、


「そうだ!これこそが完成された新世界、

 それを統べる、――朕の真の姿だ!」


 レギウスが両手を天に掲げる。


「お前、自分を“ゴーレム”に!」


 寅二郎が叫び、アンナたちが身を固くする中、

《バベルの塔》を取り囲む櫓。その腐り落ちた木材の内側から姿を現した“ソレ”が、寅二郎たちを取り囲むように組み上がっている。


――“ゴーレム部隊”。それらが一斉に口を開く。


「周り全部が? これ、“ゴーレム部隊”なの!?」


 アンナが叫ぶ。

 そして“ゴーレム部隊”の一体一体が口を開き、その奥に光が収束していく。


「みんな、こっちへ!早く!」アリアが叫び、


ビィィ


 全方向からの光線。「きゃぁ!」アンナたちが叫びを上げる。

「ぐうぅ」土煙が晴れていく中、アリアの《グレート・ウォール》で第一射を防いだアンナたち。しかし、それは一時しのぎ。アンナたちの頬に汗が流れる。


「フハハ、さすがは“勇者PT”と言っておこうか。

 しかし、お前はどうした?“追放勇者”よ」


 レギウスが笑い、アンナが振り返ると、寅二郎が立っていた。

 全方位からの光線を躱し切れず、身体のあちこちから血を流して――。


「トラジロウ!」アンナが叫ぶ。


だが、“新世界秩序”の主たるレギウスの恐ろしさは、ここからが本番だった。

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