↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第八章 魔王無き世界編
276/294

第八話 勇者PTは立ち上がる③

《国立上下水処理場》と看板の立てられた施設。


 そこにはアンナたちや要人たちだけでなく、

 帝国の一般人の姿もちらほら見受けられた。

 さきほどアンナとぶつかった女の子も、

 父母と手をつなぎ中へと歩いていく。


「こちらは街中への接続も始まり、

 一般の者にも公開しております。

 中の光景は、なかなかの迫力で見学会も盛況なのですよ」

 ゴールドールが自慢げに声を上げた。


 そうして中へ入ると、直線状に広い廊下が奥へと続く。

 右側には一面ガラスの張られた水槽のような物。

 左側には、アンナの肩まである手すりが設けられている。

 その手すりの向こうでは、ものすごい勢いで水が流れていた。


 激流のような水の流れる音に負けぬよう、

 ゴールドールは声を張り上げる。


「右側の水槽をご覧ください。

 ここには下水。汚れた水が集められます。

 そして、両側の端には電力によって、

 洗浄魔法を常時発する魔鉱石が備えられております」


 アンナたちや要人たちがそちらを見ると、

 薄汚れた水が溜められており、

 確かに巨大な黒いブロック状のものが見えた。


「洗浄魔法を?」「常時発している、だって?」

 要人たちが驚きの声を上げる。


「そうして洗浄された水は浄水として、各地へと送られるのです」


 ゴールドールが、手すりの向こうへと手をやる。

 その背後に、処理場の職員らしき人物が立っていた。

 そしてその職員から何やら受け取ったゴールドールが叫ぶ。


「今、職員から洗浄された水を渡されました。

 それでは飲んでみたいと思います」


 受け取ったグラスを一気に飲み干し、ゴールドールが声を上げる。


「美味い!」


「おお!」「本当にあの汚水が洗浄されたというのか」

 要人たちの間に再び驚きの声が響く。


 しかし、そんな驚きの声をかき消すように、


「すみません!うちの子を見ませんでしたか?」


 泣き出しそうな表情で男が叫ぶ。

 その隣にはすでに涙を流す女性の姿。


(まさか!)アンナたちの表情が一気に凍る。


ゴオオオォォーーー!


 激流のような水音が響く中、


「ちょっと目を離したすきに。

 うちの子がいなくなってしまったんです!」


 もはや涙を流し始めた男を見つめ、


ゴオオオォォーーー!


アンナにはその音が処理場の立てる水音なのか、

脳内の最悪が奏でる音か、分からなくなっているのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。