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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第八章 魔王無き世界編
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第六話 反撃はつらいよ④

 寅二郎が《点火の腕》の運用試験をしていた頃、

 帝国の参謀本部将軍ゴールドールの下に、一人の密偵が報告に来ていた。


「将軍、ルゼリアからの“GG14”の購入代金が入金されました」

「ふん、あれは“大地炉議会”との“技術交流”、その一環だ。

 あくまで“俺の好意”に対するそのお礼。

 まぁいい。その代金、諸国の要人に配布する手筈は済んでいるな」

 頷く密偵を送り出し、ゴールドールはほくそ笑む。


(ふむ、皇帝陛下の治世は絶対。

 その治世には俺の居場所も確保せねばな……)


 そして《調律者》ハルモニアは、皇帝レギウス三世の横で囁いていた。

「よろしかったので?

 将軍の独断による“GG14”売却。

 それもルゼリアの“大地炉議会”ですが」


 眉一つ動かさず、レギウス三世が言う。

「構わん。それを元に逆らうようなら排除するまで」


 ハルモニア以外誰もいない謁見の間に、レギウス三世の声が響く。


「“踏み絵”、結構なことだ。

 ゴミは早いうちに処理すべきもの。

 ゴミが炙り出されるならそれも良し」


 レギウス三世は有りもしない袖のゴミを払う。


「それに、

 何かあればその責は独断した将軍にある。

 朕の“完成された世界”にミスや間違いなど無い」


 何も言わずハルモニアは頭を下げて消えた。

 誰もいない謁見の間で、レギウス三世はどこか遠くを見ていた。


――そして、“フォレスト”内の訓練場では、


 ひとしきり、喜びを噛みしめていた寅二郎たちに、

 イェルクが眉を寄せ、言った。


「済まない、トラジロウ」


「何が?」寅二郎がイェルクに顔を向けると、


「《点火の腕》、全ての“GG14”に効く訳じゃないんだ。

 個体差や、活動中の個体には効かない場合もあり得るんだ」


 イェルクが申し訳なさそうに俯いている。

 寅二郎は、イェルクの顔を覗き込む。


「顔を上げろ、イェルク。十分だよ。

 お前は“希望”を作ったんだ!」


 そう言ってイェルクの肩を掴み、


「胸を張れ!俺たちはこれを持って帝国へ行く!」


 そして、イェルクに微笑みかけた。


 イェルクは寅二郎の顔をまっすぐ見据え、涙を流した。

「頼む。生きて帰って来てくれ。

 俺に《点火の腕》、その性能報告を聞かせてくれ!」

「分かった。待ってろよ」

 そう言って寅二郎が振り返る。

 シドやリラに顔を向け、


「行くぞ!」


そう声を上げるのだった。 

 

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