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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第八章 魔王無き世界編
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第六話 反撃はつらいよ③

《点火の腕(イグニッションアーム)》の試運転の為、

 寅二郎たちは“フォレスト”内の訓練場へとやって来ていた。

“フォレスト”内では珍しい、石壁に囲まれた広い講堂のような訓練場だった。


 そして、「おい!あれは」寅二郎が声を上げ、指差す先。


 そこには帝国製ゴーレム、“GG14”が一体立っていた。


「対ゴーレムのアイテムを使うのに、

 あれが無きゃ、話にならないだろう?」


 ボルカンが苦笑いで、“GG14”の傍に歩いていく。


「大丈夫なのか」「いきなり襲ってこない?」

 シドやリラは心配そうな声を上げる。

 そんな二人にボルカンが言う。


「大丈夫。“大地炉議会”の伝手で一体譲ってもらった。

 今は、俺の言うことを聞くように調整されている」

 そう言って、ボルカンが“GG14”の肩を抱いてみせた。


「帝国の余裕、ってところか」シドが息を吐き、


「いや、どちらかと言えば“観察”、だな。

 こいつらを使って俺たちがどう動くか。

 こいつらを使いこなせなきゃ“その程度”。

 こいつらを越える物を作り出したら“排除対象”――」

 と、ボルカンが“GG14”を睨みつける。


「人族以外の勢力、俺たちで最初の“踏み絵”をさせるつもりさ」


「それって。まずくないの?」リラが息を呑む。


「ま、《点火の腕》次第だな。

 それに、お前ら。

 どうにかしてくれるんだろ? なぁトラジロウ」

 そう言ってボルカンが寅二郎に目を移す。


「ああ、任せろ」寅二郎が答えた。


 そして、寅二郎が《点火の腕》の使用方法をイェルクから教わる。

「こいつは持っているだけでいい。

 手をかざして念じれば、指令が飛ぶようになっている」

 そう言われ、《点火の腕》を腰に紐で吊り下げた。


「そりゃ、親切設計で」寅二郎が笑う。


「技術屋なめんなよ!」イェルクも笑って返す。


「準備は出来たみたいだな。

 なら、本番のつもりでいいな?トラジロウ」


 ボルカンのセリフに、顔を引き締める寅二郎。


「ああ、こっちも壊すつもりでいいってことだな?」

 そう言って、“GG14”と距離を取る。


「ああ、これは“戦闘訓練”という名の壊し合い。

 それくらいの覚悟でやってもらおうか」

 ボルカンが、そう言って“GG14”に目を向ける。


 シドやリラが緊張の面持ちで見守る中、


「行け!“GG14”!目標を排除せよ!」

 ボルカンの叫びと共に、“GG14”が動き出す。

 直立の姿勢から、腰を落とし口を開く。


「いきなりかよ!」寅二郎が剣に手を添え走り出す。


ビィ!


“GG14”の口から光線が発射される。

 寅二郎が横跳びに躱す先、すぐさま二発目の光線が。


「くそ!」寅二郎が転ぶようにそれを躱すが、


ビィ!ビィ!次々放たれる光線、しかも――


「こいつ、俺の動きを狭めに来てる」


“GG14”へ向かう寅二郎の左右の動きを読むように、先読みのごとく迫る光線。それでも徐々に迫る寅二郎が、「ここか!」と剣を振ろうとした瞬間――。


「違う!トラジロウ!誘い込まれているぞ!」シドが叫ぶ。


「!?」寅二郎の正面、“GG14”の口に光が収束――。


(やばい!)寅二郎は左手を咄嗟に突き出し、


「止まれ!」と叫んだ。


ピィ――。口中に光を溜めたまま、“GG14”が停止。勢い余った寅二郎がぶつかり、倒れた“GG14”の口から光線が発射され、天井を貫いた。


「止まった!止まったぞ。成功だ!」イェルクが叫び、

「やったな!イェルク」「おめでとう」シドやリラがイェルクに走り寄る。ボルカンも「よくやった。イェルク」そう言いながら涙を浮かべる。


「おいおい、光線が天井を貫いたぞ。

 俺に当たってたらどうするつもりだったんだよ」


寅二郎は一人ぼやく。しかし、その顔は満足そうに笑っていたのだった。

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