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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第八章 魔王無き世界編
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第六話 反撃はつらいよ②

 “ゴーレム部隊”のシステムの核である“歩く炉(ウォーキングフォージ)”の設計者、イェルク・ミロヴァン。彼に会うため、寅二郎たちは“フォレスト”のボルカンを訪ねた。


「あいつなら“研究開発室”に籠ってるぞ。

 今度こそ完成させるって息巻いてやがる」


 そう眉を寄せるボルカン。しかし口元には微笑みが零れる。

「ちょうど最終段階だと言っていたしな。俺も一緒に行こう」

 そう言うボルカンの先導の下、

 寅二郎たちは“研究開発室”へと足を向けた。


「よう、イェルク!調子はどうだ?」


“研究開発室”に入るなり、声をかける寅二郎。

 見ると、一心不乱に何やら入力しているイェルクの背中。

 寅二郎の声にも気づかない様子。

 ボルカンがイェルクの背後に立って、一撃。


ゴンッ!


「あ痛ぁ!」と叫び、イェルクが振り返った。


「お!おお。トラジロウたちか」


 ようやく気が付いたらしいイェルクのセリフに、

 寅二郎たちが苦笑を返す。


「変わってねぇな、イェルク」

「ああ、相変わらずすごい集中力だ」

「ホント、白衣もクタクタじゃない」


 そんな三人の声に構わず、イェルクが笑顔を見せる。


「そんなことより!」


 そして、イェルクは立ち上がる。

 

「出来たぞ!“歩く炉”に対抗する技術が!」


 そう叫び、拳を握り身体を震わせる。

「おお!」「ついにか!」「やったね!イェルク」

 三人も笑顔でイェルクを囲む。


「で、それがお前の言う“対抗技術”か?」


 ボルカンが机の上にある球体を指差した。

 表面で赤い文字列が明滅する、拳大の金属球。


「ああ、そうです。

 これが《点火の腕(イグニッションアーム)》です!」


 イェルクが球体を手に取り、掲げる。


「“歩く炉”がゴーレムを自立起動させるシステムなら、

 “点火の腕”はそれを命令するきっかけ。

 彼らゴーレムたちに“道具たれ”!と思い出させる設計思想――」

 目を輝かせ、子供のように話し続けるイェルク。

 寅二郎たち三人の笑顔が、徐々に曇り始める頃、


ゴンッ!


「あ痛ぁ!」と叫ぶイェルクに、ボルカンが言う。


「詳しい話は後だ。そいつを実践して見せろ。行くぞ」


そう言ってボルカンが歩き出す。

頭を擦りながら続くイェルクに、寅二郎たちも続く。

その三人の顔には“希望”の光が灯っていた――

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