第六話 反撃はつらいよ②
“ゴーレム部隊”のシステムの核である“歩く炉”の設計者、イェルク・ミロヴァン。彼に会うため、寅二郎たちは“フォレスト”のボルカンを訪ねた。
「あいつなら“研究開発室”に籠ってるぞ。
今度こそ完成させるって息巻いてやがる」
そう眉を寄せるボルカン。しかし口元には微笑みが零れる。
「ちょうど最終段階だと言っていたしな。俺も一緒に行こう」
そう言うボルカンの先導の下、
寅二郎たちは“研究開発室”へと足を向けた。
「よう、イェルク!調子はどうだ?」
“研究開発室”に入るなり、声をかける寅二郎。
見ると、一心不乱に何やら入力しているイェルクの背中。
寅二郎の声にも気づかない様子。
ボルカンがイェルクの背後に立って、一撃。
ゴンッ!
「あ痛ぁ!」と叫び、イェルクが振り返った。
「お!おお。トラジロウたちか」
ようやく気が付いたらしいイェルクのセリフに、
寅二郎たちが苦笑を返す。
「変わってねぇな、イェルク」
「ああ、相変わらずすごい集中力だ」
「ホント、白衣もクタクタじゃない」
そんな三人の声に構わず、イェルクが笑顔を見せる。
「そんなことより!」
そして、イェルクは立ち上がる。
「出来たぞ!“歩く炉”に対抗する技術が!」
そう叫び、拳を握り身体を震わせる。
「おお!」「ついにか!」「やったね!イェルク」
三人も笑顔でイェルクを囲む。
「で、それがお前の言う“対抗技術”か?」
ボルカンが机の上にある球体を指差した。
表面で赤い文字列が明滅する、拳大の金属球。
「ああ、そうです。
これが《点火の腕》です!」
イェルクが球体を手に取り、掲げる。
「“歩く炉”がゴーレムを自立起動させるシステムなら、
“点火の腕”はそれを命令するきっかけ。
彼らゴーレムたちに“道具たれ”!と思い出させる設計思想――」
目を輝かせ、子供のように話し続けるイェルク。
寅二郎たち三人の笑顔が、徐々に曇り始める頃、
ゴンッ!
「あ痛ぁ!」と叫ぶイェルクに、ボルカンが言う。
「詳しい話は後だ。そいつを実践して見せろ。行くぞ」
そう言ってボルカンが歩き出す。
頭を擦りながら続くイェルクに、寅二郎たちも続く。
その三人の顔には“希望”の光が灯っていた――




