第六話 反撃はつらいよ①
帝国の“人口把握計画”。“帝国国民証”による国民の位置情報の把握、その先にある人類統制。レギウス三世の描く世界の未来に寅二郎たちは恐怖を覚えた。
その計画に異を唱えるため、寅二郎たちはルゼリアのイェルクの下へと“撤退”していた。
「帝国、とんでもないことになっていたな」
シドが眉を寄せる。
「息苦しくて、どうにも、……ね」
リラも自らの肩を抱く。
「やっぱり、核は“ゴーレム部隊”だろ」
寅二郎が“国民証”を眺めながら言う。
「これから発生するマナを探知するってんだから、
これを何とかしないと、帝国で動きづらくてしょうがねぇ」
寅二郎の言葉に、シドが尋ねた。
「何とかするって、どうするつもりだ?
皇帝の計画は世界規模の“政治”になっている。
“ゴーレム部隊”による統治に賛同する国も出てきているんだぞ」
シドの顔、リラの顔を見回し寅二郎が言う。
「それでも帝国の“今”を見て、この先の“未来”に不安があるんだろ?」
五大国筆頭。各地に“ゴーレム部隊”を派遣し、もはや“世界の頂点”。
寅二郎自身、そんな帝国の現状を肌で感じている。
それでも二人の表情を確認し、
「なら皇帝に、一言もの申す。それしかないだろ?」
そう笑った。
そんな寅二郎の表情に、シドやリラが目を見開く。そして、
「お前って奴は」「ふふ、トラジロウらしいね」そう顔を綻ばせた。
「そのためにもまずは、
イェルクの“歩く炉”、その完成品に期待だな」
そう言って寅二郎たちは“フォレスト”を見上げ歩き出す。
そしてシドは寅二郎の表情に誇らしさを感じつつ、
(皇帝にもの申す。その道は必ず私が作って見せる)
と、早打つ鼓動を拳で抑え込むのだった。




