第四話 勇者PTは式典で祀り上げられる③
“レギウス三世即位30周年記念式典”が開幕した。
帝国軍参謀本部付音楽隊の演奏に乗せ、国歌斉唱。
その演奏は規律正しく、各国要人の背筋も伸びる。
アリアも前回同様、「身が引き締まる思いだな」とご満悦だ。
そして、国歌斉唱が終わると、
講堂内に響く拍手の中、レギウス三世が壇上に立った。
「各国首脳の諸君、此度は朕の即位30周年記念式典によく赴いてくれた。
帝国の治世、そして世界の安定。これからの朕の話をする前に。
“魔王討伐”、その功労者、
“勇者”カミシロ・アンナ以下《光輪の乙女たち》の恩に報いねばなるまい」
そう言って、レギウス三世が手を広げる。
「さぁ!《光輪の乙女たち》、壇上へ」
講堂内は割れんばかりに拍手が鳴り響き、アンナたちが壇上へと上がる。
そして、レギウス三世はアンナたちを横に並び立たせると、
「おお!《光輪の乙女たち》よ!
そなたたちは魔王という闇を切り払い、
もはやこの世界の“希望の象徴”と相成った。
その恩に報いるため、朕はこれを用意した!」
と宣言した。再び拍手が鳴り響き、
(これ?陛下は何を用意したって?……)
アンナ以下《暁の翼》たちが戸惑う中、
ブン!
そんな音がし、次の瞬間、
「何だ!?」それまで壁に並んでいた“ゴーレム部隊”、その目が光線を放つ。
「こ、これは!」
光線の行きつく先、レギウス三世の頭上、パナデイア大陸の地図が掲げられたその場所に、建設途中の何かの“映像”が映し出されたのだ。
(これは映像?スクリーンを投影しているの?)
動揺する講堂内、騒めくそこにレギウス三世の声が響く。
「これは“バベルの塔”。
天をも貫く神殿を築く!《光輪の乙女たち》よ!
そなたらはここで帝国の築く永遠の安寧、
女神と同じ高見より、それを見届けるのだ!」
(レギウス三世!貴様!)レオニス四世は机に掛けられた布を強く握りしめ、
(“ゴーレム部隊”、ここまで出来るのか!)ジャファルは恐れおののく。
「皆、見たであろう。帝国の誇る“GG14”の力。
この力を持って、朕は皆と共に世界に永遠の秩序を築くのだ!」
レギウス三世の言葉を受け、壇上端にいた将軍たちが拍手を始める。
各国の要人たちが立ち上がり、釣られるように徐々に拍手を打ち始める。
レオニス四世は座したまま、歯を食いしばり、
アンナたち《光輪の乙女たち》は、
鳴り響く拍手の海に、放り込まれたように感じていたのだった。




