第四話 勇者PTは式典で祀り上げられる②
ガルディア帝国帝都レギオンブルク。重厚な建築物が並び、普段はきびきびと歩く帝国民の姿が目立つ街中に、今は様々な国から人々が集まって来ていた。レギオンブルクの検問所にも各国からの要人を乗せた馬車が列を成している。
それをレギウス城のテラスから眺め、
レギウス三世は声を上げた。
「さすがにこれだけの景色は壮観だな」
傍に侍るのは《調律者》ハルモニア。
「各国の国王クラスが、
陛下の下へ続々と集っておりますからな」
そしてハルモニアは、
「カミシロ・アンナたち“勇者”PTに、あのレオニス四世まで――」
と、くっくっと微笑みを浮かべた。
「では、時は来た。そういう事であるな」
そう言うレギウス三世に、ハルモニアは、
「陛下の治世、各国要人に示してやるとしましょう」
と頭を一つ下げ、闇に消えた。
「魔王無き世界、それが一つとなる時が来たのだ」
そう声を上げ、レギウス三世は空を見上げた。
レギウス城内の大講堂。以前アンナたちの歓迎式典でも使われたそこへ、アンナたち勇者PT《暁の翼》の面々が再び案内された。正面の舞台部分にはパナデイア大陸の地図が掲げられ、その下、ガルディア帝国国旗を中心に、各国の旗が並んでいる。
「やぁ、アンナたちもようやくご到着か」
アンナにそう声をかけたのは、カルナードの国王代理ジャファルだった。
「ええ、ジャファル様もお元気そうで。
前回は途中でリ・エスティーネ王国に取って返し、申し訳ございません」
頭を下げるアンナに、
「いやいや、結果、魔王は討たれたのだ。気にするな。
それより“ゴーレム部隊”だよ。ここだけの話、
帝国に譲ってもらえないかと打診しているんだ」
ジャファルの言葉に、アンナは一瞬息を呑んだが、
「そうなんですね。たしかに便利だろうとは思います」
と何とか言葉をひねり出す。が、視線はジャファルの向こうへ移っていた。
大講堂の両端、煌びやかな王侯貴族たちの席の端、壁沿いに並ぶソレ。
(“ゴーレム部隊”!あれだけの数が……)
アンナはその場に立ちすくんでいた。
「どうした?アンナ」
後ろからのアリアの声に、ようやくアンナは気が付いた。
「え、ええ。何でもないの」
そう言ってアンナは席についた。
正面、舞台の最前列、皇帝レギウス三世はこちらに向かい席につき、
各国要人たちの挨拶を受けている。その顔は以前より穏やかに見えた。
(気にしすぎ、だよね。“記念式典”なんだものね)
アンナは我知らず流れていた汗を拭い、レギウス三世を見つめ続けた。
壇上に帝国軍参謀本部将軍、ゴールドールが立ち、
「それではこれより、
“レギウス三世即位30周年記念式典”開催といたします」
その宣言と共に会場には拍手が鳴り響き、
(いよいよ、始まるのね)と、何故か胸が騒ぎ、
アンナは置かれた飲み物にも手を付けず、身を固くしていたのだった。




