第四話 勇者PTは式典で祀り上げられる①
“レギウス三世即位30周年記念式典”、
その招待状に、リ・エスティーネ王国国王レオニス四世は苦い顔を隠せない。
「対魔王の最前線、五大国筆頭。
そのガルディア帝国皇帝からの“記念式典”への招待。
顔を出さんわけにもいかん。しかしのぉ」
“魔弾銃開発計画”、“闇魔法、《リバース》研究”、奴隷や武器の密売など、帝国の不穏な動きは枚挙に暇がない。それに“ゴーレム部隊”。その侵食は世界各国へと伸びている。
「“ゴーレム部隊”、実に厄介よの」
“治安維持”を名目に、各国に居座り、すでに幾つかの国では、彼らの“力”を正式に採用する動きすらあるという。
レオニス四世の苦い顔は、王国騎士団団長にも移っていた。
「彼らの“力”は本物、我らも対策を考えておりますが、
このままでは、騎士たちの士気にも影響が……」
聖ローマン教の聖母マリアも、眉を顰める。
「彼らの“エネルギー補給”とやらで、
マナも乱れると聞きます。……少し、心配ですね」
跪き、彼らの話をじっと聞いていた“勇者”アンナが、顔を上げた。
「皇帝レギウス三世陛下には、確かに人知れぬ圧があります。
以前、私たちも“GG00”というゴーレムを、“勇者の力を見せよ”と、
けしかけられたこともありました。
ですが、私たちが勝利すればその力、認めていただけました。
今回も五大国の皆さま、そして私たちが力を合わせた姿、
それをご覧いただければ、皇帝陛下もお喜びになると存じます」
アンナが言い切り、レオニス四世にまっすぐ視線を投げる。
「ふむ」レオニス四世は一つ息をつき、
「確かに、会って話してみねば分からぬこともあるか。
“記念式典”、万難を排して臨んでみる他、無いか」
そう言って、少し表情を和らげた。
レオニス四世にはそう意見したアンナだったが、
(もし、皇帝陛下に何かあるなら、私が止めないと……)
床についた拳が、強く握り締められていたのだった。
そうして、“レギウス三世即位30周年記念式典”出席のため、
リ・エスティーネ王国から豪勢な馬車隊が出発し、
世界の行く末を方向付ける式典へと、その馬蹄を鳴らすのだった。




