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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第八章 魔王無き世界編
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第三話 再起はつらいよ④

 寅二郎たちがイェルクの再起に涙していた頃、

 ガルディア帝国帝都レギオンブルク、

 その謁見の間に皇帝レギウス三世の姿があった。


「“レギウス皇帝陛下即位30周年記念式典”

 その招待状、各国へ滞りなく配布開始いたしました」


 帝国参謀本部将軍ゴールドールの声に、

 レギウス三世は、軽く頷きを返した。


「うむ、ご苦労。

 して、“勇者PT”、彼女らの反応はどうか」


「はっ。

“皇帝陛下の統治、その安定した治世の証。

 記念式典には万難を排して、臨みたい“

 と、快諾を頂いております」


「快諾、か。

 朕の“安定した治世”、“勇者”の目に焼き付けてやろう」

 そう言って、レギウス三世は天を見上げる。


「“アレ”が完成の暁には、

 “帝国の治世”は“世界の治世”となる。

 者ども、来るべきその日の為、力を尽くせ」


「はっ!」居並ぶ高官たちが声を上げ、謁見の間を退出していく。

 そこに続く、諜報部長官、《調律者》ハルモニアはほくそ笑む。


(くくく、いよいよここまで来たな。

 “記念式典”、その日“アレ”を見る要人どもの顔が楽しみだ。

 世界の歪みが形を成す、その瞬間の顔が、……な)


 そして、ハルモニアは思い描いていた。

 レギウス城、その傍で建設されている“アレ”を。

 広大な敷地に建設された“アレ”を見る各国要人たち。

 その顔に浮かぶ絶望の表情、を。



――そしてルゼリア、“フォレスト”内の謁見の間にて。


「“皇帝陛下即位30周年記念式典”?

 魔王討伐祝いの宴会だろ?景気良い話じゃねえか」

 寅二郎のセリフに、皆苦笑を浮かべていた。


「馬鹿野郎、そんな訳があるか」

 シドにすぐ頭を叩かれ、

「さすがにそれほど簡単な話ではありませんね」

 いつも微笑みを絶やさぬミレイアにすら、呆れられていた。


「ふん、トラジロウ。

 どうせお前たち、次は帝国だろう?

 しっかりと、この場の雰囲気の理由、味わって来い」


 そして、隣のイェルクの肩を叩きながら、


「帝国とは“技術交流”ってことで、

 帝都内に俺たちの出張所がある、まずはそこを目指せ。

 お前たちに力を貸すよう、俺から言っておく」ボルカンが言う。


「助かる」と言った寅二郎は、

 ミレイア、パトラ、ファルディーン、そしてボルカンにイェルク。

 皆の顔を眺め、シドやリラに顔を向けると、


「行こう」そう言って歩き出した。


シドやリラも後を続く。

その背中を見送る謁見の間に、

“世界樹”から、どこか不安を孕んだざわめきが降り注いでいた。

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