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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第八章 魔王無き世界編
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第三話 再起はつらいよ③

 次の日、寅二郎たちはイェルクを伴い、ボルカンに会いに出かけた。案内係にボルカンの居場所を尋ねると、“フォレスト”内の謁見の間に通された。

 寅二郎たちが中へ入ると、


 小人族代表ボルカンに、国主である耳長族代表ミレイア、獣人族代表パトラ、そして“魔術部隊”総監、ファルディーンの姿まであった。


「何だ?主要人物が揃っているとは……」シドが眉をひそめたが、

「それより、ほら。イェルク」寅二郎に促され、


「ボルカンさん、いや“大地炉議会”、ボルカン様……」

 イェルクが恐る恐る、一歩前に出た。


「イェルク、戻ったか……」

 ボルカンが眉間に皺を寄せながら言った。


「私に、もう一度“歩く炉”研究の許可を!

 “大地炉議会”、皆さんの力を借りて完成させたいんだ!」


 体を震わせ、それでもイェルクは叫んだ。


 静かに、そしてさらに深く眉間の皺を深めたボルカンが言った。


「何だと?」


「帝国の“ゴーレム部隊”を見た!

 だが、あれは“完成”じゃない!

 俺なら!皆の力を借りられれば、“完成”させられるんだ!」


 イェルクの叫びに、ボルカンが一歩踏み出した。


「“歩く炉”?あれで、ダンジョン一つ崩壊させたんだぞ?」


 また一歩踏み出す。


「しかも、俺たちに力を借りたい?

 ダンジョンに籠って好き勝手潜っていたお前が?」


 ボルカンはついに、イェルクの前に立っていた。


 目が潤むイェルクの視線を受けながら、ボルカンは、


「馬鹿野郎!」


ドゴン!


 ボルカンは、イェルクの頭を殴りつけていた。

 イェルクはその激しい一撃で、頭を抱え蹲る。

 次の瞬間、


「任せろ!」


 ボルカンは叫んだ。


「やるぞ!“ゴーレム部隊”?

 それがどうした!

 俺たちが力を合わせれば、何だってできる!

 ……そうだろ?」


 イェルクが涙を流す向こう、ボルカンは寅二郎に顔を向けていた。


「トラジロウ、また世話をかけたな。

 イェルクに代わり、いや“大地炉議会”代表として礼を言う」


 寅二郎は手をひらひらさせながら、


「俺は何もしてねえよ」

 そう言って笑った。


「なら見てろ。今度こそ“俺たちの力”ってのを拝ませてやる!」

 寅二郎に力こぶを見せつけるボルカン。

 謁見の間に温かいものが広がる。

「よかったね。……イェルクさん」

 そう呟いてリラも涙を流し、蹲るイェルクに寄り添う。


 皆と同じように微笑んでいたシドだったが、


「しかし、皆さんの顔色がすぐれませんね。

 先程まで何かあったのですか?」


 そのシドの問いに答えたのは、国主ミレイアだった。

 浮かべていた微笑みを困惑に変え、


「帝国より親書が届いたのです。

 “レギウス三世即位30周年記念”式典。

 その参加を募る親書が、……です」


その言葉に今度は皆の顔に困惑が広がる。

事態は粛々と、しかし確実にどこかへ向かっているのだった――。

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