第三話 再起はつらいよ③
次の日、寅二郎たちはイェルクを伴い、ボルカンに会いに出かけた。案内係にボルカンの居場所を尋ねると、“フォレスト”内の謁見の間に通された。
寅二郎たちが中へ入ると、
小人族代表ボルカンに、国主である耳長族代表ミレイア、獣人族代表パトラ、そして“魔術部隊”総監、ファルディーンの姿まであった。
「何だ?主要人物が揃っているとは……」シドが眉をひそめたが、
「それより、ほら。イェルク」寅二郎に促され、
「ボルカンさん、いや“大地炉議会”、ボルカン様……」
イェルクが恐る恐る、一歩前に出た。
「イェルク、戻ったか……」
ボルカンが眉間に皺を寄せながら言った。
「私に、もう一度“歩く炉”研究の許可を!
“大地炉議会”、皆さんの力を借りて完成させたいんだ!」
体を震わせ、それでもイェルクは叫んだ。
静かに、そしてさらに深く眉間の皺を深めたボルカンが言った。
「何だと?」
「帝国の“ゴーレム部隊”を見た!
だが、あれは“完成”じゃない!
俺なら!皆の力を借りられれば、“完成”させられるんだ!」
イェルクの叫びに、ボルカンが一歩踏み出した。
「“歩く炉”?あれで、ダンジョン一つ崩壊させたんだぞ?」
また一歩踏み出す。
「しかも、俺たちに力を借りたい?
ダンジョンに籠って好き勝手潜っていたお前が?」
ボルカンはついに、イェルクの前に立っていた。
目が潤むイェルクの視線を受けながら、ボルカンは、
「馬鹿野郎!」
ドゴン!
ボルカンは、イェルクの頭を殴りつけていた。
イェルクはその激しい一撃で、頭を抱え蹲る。
次の瞬間、
「任せろ!」
ボルカンは叫んだ。
「やるぞ!“ゴーレム部隊”?
それがどうした!
俺たちが力を合わせれば、何だってできる!
……そうだろ?」
イェルクが涙を流す向こう、ボルカンは寅二郎に顔を向けていた。
「トラジロウ、また世話をかけたな。
イェルクに代わり、いや“大地炉議会”代表として礼を言う」
寅二郎は手をひらひらさせながら、
「俺は何もしてねえよ」
そう言って笑った。
「なら見てろ。今度こそ“俺たちの力”ってのを拝ませてやる!」
寅二郎に力こぶを見せつけるボルカン。
謁見の間に温かいものが広がる。
「よかったね。……イェルクさん」
そう呟いてリラも涙を流し、蹲るイェルクに寄り添う。
皆と同じように微笑んでいたシドだったが、
「しかし、皆さんの顔色がすぐれませんね。
先程まで何かあったのですか?」
そのシドの問いに答えたのは、国主ミレイアだった。
浮かべていた微笑みを困惑に変え、
「帝国より親書が届いたのです。
“レギウス三世即位30周年記念”式典。
その参加を募る親書が、……です」
その言葉に今度は皆の顔に困惑が広がる。
事態は粛々と、しかし確実にどこかへ向かっているのだった――。




