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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第八章 魔王無き世界編
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第三話 再起はつらいよ①

《ドラゴン・スレイヤー》ノーマン、その孫娘、フラン。そしてシルバージル将軍率いる帝国の“ゴーレム部隊”と出会った寅二郎。


「悪いが、“フォレスト”に急ごう。イェルクが心配だ」

 そう言いだし、ルゼリアへ直行する馬車に乗っていた。


――イェルク・ミロヴァン。以前ルゼリアの小人族代表ボルカンに依頼され、寅二郎たちが、“機工の迷宮”というダンジョンから連れ戻した人物。“歩く炉”というゴーレムの自律システムを研究していたが、その研究の核を帝国の女スパイ、フジコに奪われた。


「あの“ゴーレム部隊”っての、イェルクの“歩く炉”が関係してるだろ。

 アレを見て、聞いて、イェルクが何も感じないはずがない」


「確かに、そうだな」

「“ゴーレム部隊”、すごかった。

 けど、何だか、……ね」


 シドやリラも下を向き、考え込む。


 二人も目の当たりにした“ゴーレム部隊”の威力。

 三人は頼もしさではなく、言いようのない気持ちを抱えていた。

 あえて、言葉に当てはめるなら、それは“不安”に近かった。


 馬車の中が静まり返り、それを嫌ったのか、寅二郎は、


「あんなの見たら、イェルクの野郎、またどっかに潜っちまうかもな」


 ははっと、空笑いを上げた。


「ふふ、そうね」

「あの時も苦労したしな。二度目はごめんだ」


 二人も合わせるように声を上げた。

 しかし、馬車内の空気は、結局“フォレスト”に到着するまで重いままだった。


 そして、イェルクの居場所を聞こうと、

 まず“研究開発室”にいたボルカンを尋ねたが、


「おお、トラジロウ、それに二人も。よく来たな。……しかしそのツラ」


 そう言ったボルカンの顔も曇る。


「もしかして、イェルクの野郎のことか?」


 頷く寅二郎たちに、ボルカンは、

「あいつなら、最近はずっと酒場だ。顔を見せてやってくれ」

 そう言って、酒場への地図を描いてくれた。


歩き出した寅二郎の不安は的中していた。

イェルクは深い失望の海に潜っていたのだった――。

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