第三話 再起はつらいよ①
《ドラゴン・スレイヤー》ノーマン、その孫娘、フラン。そしてシルバージル将軍率いる帝国の“ゴーレム部隊”と出会った寅二郎。
「悪いが、“フォレスト”に急ごう。イェルクが心配だ」
そう言いだし、ルゼリアへ直行する馬車に乗っていた。
――イェルク・ミロヴァン。以前ルゼリアの小人族代表ボルカンに依頼され、寅二郎たちが、“機工の迷宮”というダンジョンから連れ戻した人物。“歩く炉”というゴーレムの自律システムを研究していたが、その研究の核を帝国の女スパイ、フジコに奪われた。
「あの“ゴーレム部隊”っての、イェルクの“歩く炉”が関係してるだろ。
アレを見て、聞いて、イェルクが何も感じないはずがない」
「確かに、そうだな」
「“ゴーレム部隊”、すごかった。
けど、何だか、……ね」
シドやリラも下を向き、考え込む。
二人も目の当たりにした“ゴーレム部隊”の威力。
三人は頼もしさではなく、言いようのない気持ちを抱えていた。
あえて、言葉に当てはめるなら、それは“不安”に近かった。
馬車の中が静まり返り、それを嫌ったのか、寅二郎は、
「あんなの見たら、イェルクの野郎、またどっかに潜っちまうかもな」
ははっと、空笑いを上げた。
「ふふ、そうね」
「あの時も苦労したしな。二度目はごめんだ」
二人も合わせるように声を上げた。
しかし、馬車内の空気は、結局“フォレスト”に到着するまで重いままだった。
そして、イェルクの居場所を聞こうと、
まず“研究開発室”にいたボルカンを尋ねたが、
「おお、トラジロウ、それに二人も。よく来たな。……しかしそのツラ」
そう言ったボルカンの顔も曇る。
「もしかして、イェルクの野郎のことか?」
頷く寅二郎たちに、ボルカンは、
「あいつなら、最近はずっと酒場だ。顔を見せてやってくれ」
そう言って、酒場への地図を描いてくれた。
歩き出した寅二郎の不安は的中していた。
イェルクは深い失望の海に潜っていたのだった――。




