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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第八章 魔王無き世界編
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第二話 冒険者はつらいよ④

 黒雲のようだったワイバーンの群れ、

 それは今、やや地表に降りてきているように見えた。


「いよいよ、街を獲物と決めたようだな」


 街を背にして、庇うように。

 ワイバーンたちを前にノーマンは言った。

 老いてなお、その背中には覇気がみなぎる。


「それでノーマン卿、どうする? 方針を決めておきたい」

 シドがワイバーンたちを見ながら、声を上げた。


「私が蹴散らしてこよう。漏れた者があらば頼みたい」


 当然のようにノーマンが言い、背中の槍を構えた。

「しかし、あの数……」

 シドが更に詰め寄ろうとするのを、フランが代わりに答えた。

「お爺さまにお任せください。え、と、失礼……」

「ああ、俺はシド、こちらがリラ、そしてあれがトラジロウだ」


 シドが手を向けるのに合わせ、リラが頭を下げ、

「よろしくな!」と寅二郎がサムズアップ。


「こちらこそ、よろしくお願いいたします。

 私はフランソワ。フランとお呼びください」

 

 各々自己紹介も終わり、ノーマンが言った。


「では行くぞ」その言葉と共に、ノーマンの槍に雷が走る。


「《ハイジャンプ》!」その声で体が光り、ノーマンは跳躍した。

「何だと!」シドの目の前を砲弾のように飛び出していく。


 雷光のように、ワイバーンの群れに突っ込むノーマン。

「《ライトニングランス》!」黒雲を切り裂く雷光。

 次々とワイバーンが落ちていく。

「すごい!」リラが声を上げた。しかし、

「あのままではノーマンも落ちてしまうぞ!」シドが叫ぶ。


「まだまだこれからですよ。《エアステップ》!」

 フランが手をかざすと、黒雲の頭上へ飛び出るノーマン。


「ふん!」


 ピンボールのように、

 空中を跳ねまわるノーマンが、

 次々と黒雲を切り裂いていく。


「まさか、ノーマンの足場を作っているのか!」

(空中で!しかも動き回るノーマンの動きに合わせて!

 この娘も只者ではないぞ!なんという空間把握能力!)


 しかし、リラが声を上げた。

「すごいけど。

 ……あの端の方、漏れだして来てる!」

 凄まじい勢いで黒雲を切り裂くノーマンだったが、多勢に無勢。

 確かに取りこぼしが出始めていた。


「では、そろそろ私も……」フランが動き出そうとしたが、


「まぁ待てって、フランちゃん。俺に任せろ」

 そう言って、寅二郎が走り出す。


 そして地面に落ちたワイバーンの死体を引きずりながら叫ぶ。


「おらおら、ワイバーンども、こっちに来やがれ」


「馬鹿野郎、囮になる気か!」シドも慌てて走り出す。


 漏れ出たワイバーンたちが叫びを上げ、寅二郎目掛け襲いかかってくる。


「よし!来いや!」寅二郎も剣を抜き、光を纏わせる。

 ワイバーンたちが迫り、シドやリラも走ってくるが、


『撃て!』


 その声と共に、10本の光が線となり、面となる。

 その光は一瞬にして、寅二郎に迫るワイバーンたちを断ち切っていた。


「今度は何だ!」と、シドが立ち止まり、声のした方を向くと、


 黒の全身鎧に身を包んだ男と、10体並んで歩いてくるゴーレムたちが見えた。


「遅れてすまない、我々は“GG14”から成る“ゴーレム部隊”。

 私は、隊長のガルディア帝国参謀本部将軍シルバージル。

 応援要請に応え、今、現着した」


 全てのワイバーンが落とされたのだろう、静寂が下りる。


 そして、


 黒雲が切り払われた戦場、そこに今、

“伝説”“勇者”そして“帝国の力”が並び立ったのだった。

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