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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第七章 人魔決戦編
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第五話 リ・エスティーネ王国はつらいよ⑤

 黒い渦を抜け、寅二郎たちは大魔王ノクスを目指し走り続けていた。


「よかったの?」アンナが寅二郎に声をかけた。

「ああ、帰ったらケツでも蹴られるかもな」

 と寅二郎が苦笑いで返す。


(帰ったら……か)アンナは先を走る寅二郎の背中を見ていた。


 うっすらと白く光るその背中は、昔、ベルゼ撃退の時見た背中。


(私たちだって、あの時と同じじゃない)


 アンナは寅二郎の隣へと速度を上げた。

 隣に並び走るアンナの横顔を見て、寅二郎が微笑む。


「帰ったら、マリアともっこり。絶対勝つぞ!」


 寅二郎のセリフに皆、一瞬言葉に詰まる。


「ぷっ。あんた何も変わってないじゃない!」


 アンナが寅二郎の肩を叩き、

《暁の翼》の面々も噴出していた。


「間違いなく、折檻だな」

「そうね、ケツ、だけじゃ済まないわ」

「馬鹿ね」

「マリア様とは駄目ですよ!」


 皆の雰囲気に満足したのか、寅二郎が言う。


「まぁとっとと魔王なんぞぶちのめして帰るぞ」


 アンナたちは顔を引き締め、「おう!」と、声を揃えるのだった。


 周りは黒いマナが漂う空間。しかし地の底へと向かう感覚だけが分かる。

 そして、その先に魔王ノクスがいる。その確信を持って走るのだった。



一方、地の底かと思えるその場所。負のマナが渦巻く終着点。

 大魔王ノクス・リヴェルタは玉座らしき闇に腰を下ろしている。


「来るか女神の駒よ、しかし邪魔はさせん。

 この世界は闇に沈まねばならんのだ」


 静かに、しかし力強く宣言するノクス。


光と闇の激突は、

もはや、避けようのない運命として、すぐそこまで迫っていた。

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