第五話 リ・エスティーネ王国はつらいよ①
魔王軍による世界規模の“スタンビート”。
聖母マリアを擁する、女神信仰の大本山。
リ・エスティーネ王国の衝撃は他国の比では無かった。
王都エスティアの謁見の間で、国王レオニス四世は天を仰いでいた。
王国内のダンジョン、“スタンビート”対応への報告が続々と上がる。
「《灰哭の巣窟》の再鎮圧に成功。王国騎士団第一隊が帰還すると報告が」
「冒険者ギルドの応援もあり、各ダンジョンに冒険者が派遣されております」
いずれも前向きな報告だが、レオニス四世は苦い顔。
(まさか、このような事態が起こるとは……)
伝令を呼び止め、レオニス四世は尋ねる。
「“勇者”は?カルナードへと送り出したアンナたちは、どうなっておる」
呼び止められた伝令は振り返り、
「先程の報告の通りです。
カルナードからの早馬によれば、
カミシロ・アンナ以下、すでにカルナードを出立したと――」
そうだったな、とレオニス四世は伝令を下げさせた。
眉間に深い溝を作ったまま、レオニス四世は現状を理解しようと目を閉じる。
(“コルダ丘陵”での一件、大将軍を狙った闇魔法、《リバース》。
聖属性を反転させるというその魔法。情報自体は掴んでおったが……)
雑念を振り払うように頭を振ったレオニス四世。
(まさか、その先があろうとは。……しかもこの規模。あの状況)
レオニス四世は“英雄召喚”の祭壇、その現状を思い、
そして、ゆっくりと目を開くと、
「この世界は、闇へと沈むというのか……」
と、誰にともなく呟いたのだった。




