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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第七章 人魔決戦編
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第四話 ガルディア帝国はつらいよ?③

ボン、ボボン――。


《鉱物の積層》、そのコアの間に閃光と爆音が響く。

 フジコの投げた炸裂弾や発光弾。

 しかし鬼に槍の一閃でかき消されてしまう。


「くだらん!くらえ」


 すかさず鬼の槍が繰り出され、寸前のところで顔を捻るフジコ。

 頬を霞め、血が滲む。それでも後転し、距離を取る。

 そこへ迫るのは火球。フクロウ男の魔法だった。


「!?」フジコは再び炸裂弾を火球へ投げる。


 激しい爆発とともに、爆風で壁へと吹き飛ばされた。


ドン。壁に背を打ち付け血を吐くフジコ。そこへ大型のトカゲの突進。トカゲの額に短剣を突き刺しながら体当たりを飛んで躱した。しかし抵抗はそこまでだった。


「空中では避けられまい」鬼が槍を振るい、フジコは叩き落された。


「ぐう」地面に叩きつけられ、それでも尚後転して距離を取る。


 しかし、鬼は距離を詰めていた。

 いよいよフジコの正面で槍を振りかぶった。


「死ねぃ」その声にさすがのフジコも死を覚悟した。


(こんなところで死ぬわけには……)


 その瞬間――、


『撃て!』その声と共にコアの間に光線が走る。


 鬼も、フクロウ男も、生まれ出た魔物たちも残さず貫かれていた。



「ハァ、ハァ…」


 フジコは両手を床につき、激しく息を吐き出していた。

 そんなフジコに歩み寄ってきたのは、黒色の全身鎧。


「まさか、人間か。

 私は帝国軍参謀本部所属の将軍、シルバージル。

 ――あなたは?」


 ようやく立ち上がったフジコは、シルバージルとその背後に並ぶ“ゴーレム部隊”を見回しながら言った。


「私はフジコ。助かったわ、ありがとう、シルバージル将軍」


 シルバージル将軍は、盛大に眉を顰め言った。


「女性一人で、こんなところで何をしていた?」

 

 フジコは、舞台女優のような大きな身振り手ぶりでコアの間を歩き出す。


「ふふ、私は冒険者なの。遺跡発掘専門のね。

 今回の世界規模での“スタンビート”。

 こんな状況、調べないわけにはいかないでしょ?」

 あちらこちらと歩き回り、振り返ると、


 後ろに手を組み、シルバージルにウインクすら見せた。


「そんな理由で?こんな危険なダンジョンに。

 にわかには信じられんな。本気で言っているのか」


 まっすぐにフジコを捉える、シルバージルの視線。


「本気よ?ダンジョンに眠るお宝。最高のロマンじゃない?」


 しばらく視線を交わしたままの二人だったが、


「分かったわよ。こんな危険な真似、二度としないわ」

 フジコは両手を上げ、シルバージルに微笑んだ。


「ああ、そうしてくれ。あなたも帝国の守るべき民。

 皇帝陛下の恩情を受けるべき国民の一人なのだから……」


 シルバージルの言葉に、フジコは思わず笑いだしていた。


「私が?帝国の民。皇帝陛下の恩情を受ける?」


 腹を抱える勢いで笑うフジコに、シルバージルは眉を顰め叫ぶ。


「何がおかしい!帝国は民を守る!少なくとも私はそうしている!」


 ようやく笑いを収めたフジコは言った。


「ええ、“あなた”はそうなのね。悪かったわ」


 そうしてフジコは歩き出した。


「シルバージル将軍、今回は本当に助かったわ。

 ありがとう。またいつか会えるといいわね」


 フジコの背中を見つめ続けたシルバージル将軍は見逃していた。


フジコの手に光るものを。

コアの奥、七色に輝いていたはずの場所が、くり抜かれていたことを――。

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