第四話 ガルディア帝国はつらいよ?①
魔王軍による世界規模の“スタンビート”。
ガルディア帝国皇帝レギウス三世の下にも、続々と報告が上がる。
しかし、レギウス三世の表情はどこか余裕を見せていた。
「ふん、魔王ノクスの悪あがき。
耐えきれぬほどの圧でもない。
“ゴーレム部隊”の状況はどうか?」
皇帝の問いに答えたのは、
フードを目深にかぶる男、《調律者》ハルモニアだった。
「帝国内の各ダンジョンには派遣済み。
すでに鎮圧完了の報告も多数上がっております。
各国への“援助派兵”も着々と進行。
そちらも鎮圧成功の報告が上がり始めております」
ハルモニアの言葉に頷くと、レギウス三世は重ねて問うた。
「損耗の程は?」
口を開こうとしたハルモニアの前へ、参謀本部将軍が立った。
「はっ。参謀本部将軍ゴールドール、お答えします。
“ゴーレム部隊”、損耗率は5%。通常想定値は0.5%以下ですが、
エネルギーを現地で補給可能の為、継続使用可能レベルです」
ゴールドール将軍は胸を張って答えたが、
レギウス三世の眉間には皺が寄っていた。
「5%?ダンジョンごときで、ダメージを負っているという事か?」
ゴールドールは息を詰まらせる。
そして、再び答えたのはハルモニアだった。
「確かに現在の“GG13”の耐久性能は問題であります。
ですが我が軍の諜報部が、あるダンジョンに潜っております。
成果次第で改善の見込み、良き報告をお待ちください」
場に沈黙が流れる。
そして、レギウス三世がようやく口を開いた。
「よかろう。報告を待とう。
しかし、“ゴーレム部隊”はこれからの帝国そのもの。
帝国内で魔王などに勝手を許すな」
「はっ」皇帝の言葉に高官たちが謁見の間を退出する。
皆体を固くする中、ハルモニアだけが口元に笑みを浮かべていた。




