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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第七章 人魔決戦編
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第三話 カルナードはつらいよ⑤

 リッチを退け、コアの間を掌握することに成功した。

 それでも未だ傷の治療のために、多くの兵が動けずにいた。

 そんな中、アンナたちは近づいてくる足音に身構えていた。


 しかし、


「おお、こちらも終わったようですな」


 身構えるアンナたちに聞こえてきたのは、飄々とした声。

 黒塗りの全身鎧に身を包んだ男が、こちらへと歩いてきていた。


「おっと、私たちは帝国の者です。

 私は帝国参謀本部将軍、ライクイーグル。

 そしてこちらが……」


 アンナたちの困惑を、気にも留めず、ライクイーグルが言った。


「帝国の誇る“GG13”で構成された“ゴーレム部隊”です」


 ライクイーグルの後ろには、二列で行進するゴーレムたちが続いた。

 アンナたちはようやく構えを解いたが、アリアが言った。


「そちらからやって来たということは、

 《大空洞》を抜けてきたのか?」


 アリアの言葉にライクイーグルが頷く。

 そして、アンナに顔を向け言った。


「ああ、《大空洞》は制圧した。

 コアの警戒に二体残し、

 残りでこちらも、と向かってきたのだ」


 どこか挑発的な物言いに、アンナは眉をひそめたが、


「そりゃぁ、ありがたいこって」

 と、場の空気を読まずに、ガガンが声を上げた。


「ふむ、こちらは?」


 相変わらずライクイーグルは、アンナを見たままだ。


「はい、こちらは“奴隷兵団”の……」


 アンナの言葉を最後まで聞かず、ライクイーグルが声を上げる。


「なるほど、なるほど。“奴隷”ですか。

 それはご苦労だったね。しかしこれからは……」

 ライクイーグルは、アンナからカルナード兵団へと目を移し、


「我々に任せたまえ! 我々“ゴーレム部隊”に、ね」


 そのライクイーグルの言葉に、《暁の翼》の面々の目の色が変わる。


 しかし、アンナは手で制し、苦笑いを浮かべ言った。


「頼もしい限りです。ライクイーグル将軍。

 これからも“共に”力を合わせて参りましょう」


 ライクイーグルは一瞬目を丸くしたが、苦笑いを浮かべ、


「そうでしたな。“共に”参りましょうな、“勇者”殿」


 兵たちの治療も終わり、アンナたちは“オアス・ラジェム”の王宮へと帰ることにした。コアの警戒は、ライクイーグルの「お任せください」との言葉に、任せることにした。


 帰りの馬車の中、ヤスコが尋ねる。

「アンナ、よかったの?“ゴーレム部隊”に任せてしまって」


 アンナは、窓から見える砂漠を眺めながら答えた。


「悔しいけど、私たちも万全じゃない。

 一番力を残していたのは、“ゴーレム部隊”よ」


 アンナの言葉に、《暁の翼》の面々の表情が曇る。

 誰も声を上げられず、沈黙が広がる。


(“ゴーレム部隊”の力は本物だった。

 だけど全てを任せてしまっていいの?)

 

 変わらず続く砂漠の風景を見ながら、アンナは考える。


(私たちは希望の象徴を目指している。

 だけどそれは“ゴーレム部隊”になるという事?……分からない)


王宮へ到着するまで、アンナの胸から疑問が消えることはなかった。

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