第三話 カルナードはつらいよ②
“オアス・ラジェム”の王宮、
アンナたちはその謁見の間へと通された。
出迎えたのは、国王代理ジャファル・カルナードだった。
「よく来てくれた。《暁の翼》の諸君。
それにリ・エスティーネ王国騎士団からも増援。
頼もしい限りだ」
アンナたちは跪き、顔を上げた。
「貴国の救援要請にこたえ、急ぎ参りました。
早速ですが戦況はいかがでしょうか」
アンナの言葉に、ジャファルが息をつく。
「知っての通り、
我がカルナードはダンジョンとの関りが深い。
それが今回の世界規模“スタンビート”。
正直、手が回っていないのが現状だ」
身を固くするアンナたちを見回し、ジャファルが言った。
「到着してすぐの所、申し訳ないが、
現状一番の激戦地となっている《悠久の王墓》へと向かってもらいたい」
「承知しました。行くよ!皆」
そう言ってアンナたちが謁見の間を後にした。
そのアンナの背を見ながら、ジャファルは呟く。
「“勇者”アンナに見せたくは無かったが、……それでも」
こうするしか無かったのだ、という言葉はか細く消え入るのだった。
カルナード兵に先導され、
アンナたちの馬車が《悠久の王墓》へ辿り着いた。
「あれは、ピラミッドか!」
アリアが目の前の四角錐の建物、
ピラミッド型の王墓を指差す。
「しかし、誰もいないな。もう中にいるのか?」
ヤスコが馬車を降りながら言った。
アンナたちの後ろに、
エルザたちの騎馬隊も到着した所で、
案内役のカルナード兵が答えた。
「はい、
我々カルナード軍が先行しているのですが、
地下へと向かう構造。
その先には大きな洞窟が続いています」
「洞窟?王墓ではないのか?」アリアが眉を顰める。
「本来なら地下の棺の間にコアがありました。
しかし、この先の《大空洞》と呼ばれるダンジョン。
その境を破壊され、一つになってしまっているようです」
「まさか!魔王軍か」
ヤスコが声を上げ、カルナード兵が頷く。
「おそらく。
《大空洞》側からも我らが侵攻しておりますが、
いまだ鎮圧には至っておりません」
「単純にダンジョン二つ分の脅威度という事ね」
追いついたエルザが声を上げた。
そのエルザたちに目を向け、アンナが言った。
「たぶん中は魔物で溢れてる。
それに魔王軍。
急ごう、兵たちの身が心配だわ」
アンナのセリフに一同の空気が変わる。
そうして《悠久の王墓》攻略が始まるのだった。




