第三話 カルナードはつらいよ①
魔王軍による世界規模の“スタンビート”。
勇者アンナたち《暁の翼》一行は、
砂漠王国カルナードからの救援要請に急ぎ馬車を走らせていた。
リ・エスティーネ王国からは、エルザたち第三隊の精鋭も伴っている。
「恐ろしいな、“スタンビート”が世界中で発生しているとは」
「ええ、私たちも《灰哭の巣窟》で経験しましたけど……」
アリアとユキナは深刻な表情を浮かべている。
「あの時も《灰哭の巣窟》一か所に王国騎士団や、
冒険者たち総出で事に当たったのだもの」
いつもは冷静なヤスコの額にも、しわが刻まれている。
「大丈夫!あの時だって鎮圧出来たし、
今は私たちはもっと強くなってるよ!」
リルルは頬を上気させ、自分を奮い立たせるように声を上げた。
リルルのその表情に皆、顔を綻ばせる。
そして、
「そうだね。私たち皆で力を合わせれば、今回だってきっと!」
アンナの言葉に、《暁の翼》全員で頷いた。
「今回の“スタンビート”、その先には魔王が……そんな気がする」
アンナが皆に顔を向け、
「みんな力を貸して!やるよ!」
「おう!」《暁の翼》は皆で声を上げた。
そうしてアンナたちの馬車が、
カルナードの首都“オアス・ラジェム”、その王宮へと到着した。
その一方で、とある洞窟内には、
「“勇者”はまだか!俺たちは!このままじゃ!」
血まみれの男の叫びが響いているのだった。




