第二話 ヴァルニスはつらいよ②
武聖トンペティの門下生で占める“連盟警護団”の精鋭部隊。
彼らの乗る馬車が《断崖の古城》へと到着した。
切り立った断崖の先に城が見える。
崖下には高波が押し寄せ、崖にぶつかり音を立てている。
馬車を降りたトンペティが目を凝らし言った。
「ふむ、城の前に、馬車が見えるの。
それに、あの集団、“ゴーレム部隊”か。
何とか追いついた様じゃな」
トンペティたちが歩いていくと、
10体のゴーレムが整列していた。
その先頭には、全身黒鎧の大柄な男が声を上げていた。
「これより《断崖の古城》へ突入する。
ヴァルニス側からの情報によると、玄関に当たる大広間。
そして、その奥に謁見の間があるという。コアはそこだ」
何の反応も示さないゴーレムたちに、
トンペティが眉を顰めていると、
「おお!あなたはもしや、武聖トンペティか!」
トンペティたちに気付いた男が駆け寄ってきた。
「よく来てくれました。
私は帝国参謀本部将軍ウインバッハ。
この“GG13”部隊の隊長であります」
そう言ってウインバッハが胸に拳を当てた。帝国式の敬礼だ。
「こちらこそ、御助力感謝する。
国主マルセロからも、よろしく伝えおくよう言われておる」
トンペティが鷹揚に手をふって応えた。
「我らが手を合わせれば、向かうところ敵なしですな。ハッハッハ」
大柄な体を揺らせながら、ウインバッハは高笑い。
「ふむ、そうじゃな。
注意するに越したことは無いがの」
トンペティが苦笑いを浮かべると、
「それでは」と、ウインバッハの顔つきが変わる。
「おそらく中は魔物で溢れていましょう。
この“GG13”――
我が帝国で十三代目となる量産型ゴーレム部隊で、道を開きます。
謁見の間、そのコア周辺にいるであろう魔王軍。
そこに老師たちは集中してもらいたい。よろしいか?」
有無を言わせぬ声色だったが、
トンペティは問いを入れた。
「こちらとしては助かるが、
“道を切り開く”、本当に頼めるか?」
トンペティの問いに、ウインバッハは口角を上げる。
「もちろん!
我が帝国の誇る“ゴーレム部隊”の力、
存分にご披露いたしましょうぞ!」
そうしてウインバッハは再び高笑いし、手を上げると、
ゴーレムたちは一切の声を発することなく、
ぴたりと横一列に展開した。
そうして、いよいよ《断崖の古城》攻略作戦が始まるのだった。




