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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第七章 人魔決戦編
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第一話 ルゼリアはつらいよ⑥

 小高い丘の上、

《双子の迷宮》が見渡せるそこにパトラが座っている。

 そのパトラに次々と事後処理の報告が入る。残っていた魔獣の掃討が完了。《双子の迷宮》その一つ、右側のコアを完全な破壊に成功。左側のコアも最低限の処理が済んだ事。


 それらを聞きパトラは尋ねた。


「ふむ、こちらの被害は?」


 跪く伝令が告げる。


「は、“勇者”殿の救援のおかげで、死者は0。

 負傷者も、リラ殿の力を借りて目下治療中です」


 その言葉にパトラは、ふぅと息をついた。


 そこへ寅二郎たちがやって来た。


「大丈夫か?パトラ」

「ああ、おかげさまでな」


 寅二郎の声に答えたパトラが、立ちあがった。


「お前たちの救援、本当に助かった。

 リラも治療に駆け回ってくれたと聞いている。

 獣人族を代表して礼を言う」

 そう言って、頭を下げた。


「いえ、そんな」リラは恐縮し、寅二郎たちも微笑んだ。


 しかし、とシドがパトラに尋ねる。


「パトラ様、その、体の方は大丈夫ですか?

“白虎化”は禁忌の業だと聞きましたが……」


 寅二郎も目を細めるが、


「ああ、大丈夫。この通りだ。今は大丈夫。

 それに“白虎化”は切り札。使わないで済むに越したことは無い」


「もう、使うなよ?」寅二郎はパトラと視線を合わせる。


「ああ、余程のことが無い限り使わないさ。

 私には頼りになる仲間がいることだしな」


 パトラは眼下で事後処理に当たる金虎族、

 そして寅二郎たちを見回す。


「それにトラジロウ、お前が魔王を倒してくれるのだろう?」

 そう言ってパトラは微笑みを返した。


(“その時”が来れば分からんがな……)


 そんなパトラの内心を見抜いたのか、寅二郎が空を見上げた。


「ちぇ、そんな顔見せられたら何も言えねえだろうがよ」


「今は私の事より、世界の事だろう?」


パトラのその言葉通り、魔王の陰謀は始まったばかり。

寅二郎の見上げた空も、雲が早く流れていく。


ルゼリアの“魔術部隊”総監で“森と理の均衡者”、

ファルディーン・アウレルもまた戦場に立っているのだった。

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