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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第七章 人魔決戦編
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第一話 ルゼリアはつらいよ④

《双子の迷宮》を指差しながらパトラが言う。


「あの距離が、面倒でな。見ていろ……」


 寅二郎から見て右、

 金虎族だろう獣人たちがダンジョンに迫る。


しかし、


「何だ?右のダンジョンから無数の援軍が!」


 右側のダンジョンから夥しい魔獣が溢れだし、

 獣人たちを押し戻していく。


「《双子の迷宮》は相互関係にある様でな。

 片方を押しても、反対側のダンジョンから補充されてしまう」


 パトラの言葉にシドが息を飲みこむ。


「ああ、それにな……」

 まだあるのか、とシドが目を細める。


「両ダンジョン、入り口付近に陣取る奴らは魔王軍。

 無秩序な魔獣どもを差配しているのだ。

 しかも奴らの目的は、おそらく時間稼ぎ」 


「そんな……」リラが目を見開き口に手を当てた。


「おそらくこの世界規模の“スタンビート”は魔王軍の仕業。

 時がたつほど、奴らにとって有利に働く」パトラが唇を噛む。


 この場の皆に沈黙が広がる。

 そして状況を一瞥し、寅二郎は舌打ちした。


「……チッ。コアが二つあるのが厄介なら――

 俺が右、パトラは左だ。同時にぶち抜くぞ!」


「何だと!」パトラが声を上げ、

「無茶だ!あの数だぞ」シドも叫び、

 リラは何も言えず寅二郎を見た。


「時間もねえだろ?見ろ、獣人たちも限界だ!」


 寅二郎の言葉にパトラが戦場に目を向けた。

 返り血に染まる獣人たち。屈強な彼らが肩で息をしている――。


「そうだな」パトラの言葉は静かだった。


「トラジロウ行けるか?私も出る」

 そのセリフに、寅二郎が「任せろ!」と答える。


「ではトラジロウ、お前たちには右側を。

 金虎族の族長と合流し、一気に落としてもらいたい。

 私は左へ出よう」


 パトラの表情に迷いは無かった。


そうして作戦会議は終わった。

いよいよ戦場に“勇者”と“白虎”が並び立つ。

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