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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第六章 商業都市国家群ヴァルニス編
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第九話 前兆はつらいよ②

 寅二郎たちがミラステラ宮殿へと到着した。

 案内に尋ねるとすぐに謁見の間へと通された。


「来たか、トラジロウ」


 先着していたらしいトンペティがこちらに手を振っている。


「師匠、だいぶヤバいらしいじゃねえか」

 寅二郎はトンペティに苦笑いを浮かべる。


「不気味さ、ということではだいぶヤバいの」

 トンペティが肩を竦める。


「ああ、《青環の神殿》でこの異常。不安に思わん人間はおらんな」

 国主マルセロがため息をついた。


――《青環の神殿》、首都ミラステラの目と鼻の先、その立地ゆえ管理は万全。のはずだった。しかしそこで“スタンビート”の兆候。誰もが耳を疑った程だ。


「つい先日も定期検査が入ったばかりだった。それがこのざま。

 ここで何かあれば即ミラステラの危機だ。そこでな……」


 マルセロはトンペティと寅二郎を見回して言った。

「今回は少数精鋭でのダンジョン探索とすることにした。

 もちろん後詰には冒険者たちに入ってもらう。……しかし」


「ああ、今回も速さが勝負。後詰に頼る様では……」

 トンペティが言い、

「何が起こるか分からん。そういう事だ」

  マルセロが重く頷いた。


「でも、なんで俺たちが呼ばれたんだ?」

 寅二郎が首を捻るが、


「お前、世界樹に触れただろう?

 つまりマナの巡りをその身で感じられるはず」

 トンペティが言った。


「それにお前は仮にも“勇者”。

 この危機に、魂が打ち震えてくるじゃろう?」

 トンペティが微笑み、


 シドやリラの視線を感じて寅二郎が言った。


「……分かったよ。

 ここで逃げるわけにもいかねえか。行くよ」


「そうと決まれば直ぐにでも発ってもらいたい。

 冒険者たちには私の方から指示を出しておく」


 そのマルセロの言葉で会議は終わり、

 寅二郎たちは《青環の神殿》へと向かうこととなった。


浜辺に建つ《青環の神殿》への入り口、

多数の冒険者たちが不安の表情を浮かべ立っている。

その深奥には確かに何かが蠢いているのだった――。


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