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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第六章 商業都市国家群ヴァルニス編
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第八話 勇者PTルゼリアへ行く④

 翌朝、アンナたち《暁の翼》はミレイアの先導で世界樹へとやって来た。


「すみません、ミレイア様自らご案内いただけるなんて」

 恐縮するアンナにミレイアが首を振る。


「私が提案させていただいたことですし、それに……」


 ミレイアがそっと視線を動かし、

 釣られてアンナたちも世界樹を見上げた。


「あなたが世界樹で何を見るのか、とても興味があるのです」


 早朝のさわやかな風が吹き抜ける。


 そして、アンナはゆっくりと世界樹へと歩き出した。


「世界樹に触れると何か起きる、というのか?」アリアが呟き、

「悪いことは起きないでしょ?」といいつつ、リルルは眉を顰める。

「わざわざミレイア様が付いてらっしゃるのは……」

 ヤスコはミレイアへと視線を移す。


 ミレイアはアンナをずっと目で追っている。


(アンナさん……)ユキナは自然と祈りを捧げていた。


 風が止んだ。


 アンナは世界樹、その太い幹へと手を添えた。

 その瞬間、「!?」アンナの中で何かが駆け巡った。


(何だろう?この感じ、嫌な気持ちはしない。だけど……)


 世界樹に触れ微動だにしないアンナに《暁の翼》の面々が駆け寄る。

「どうした?」「アンナ!」口々に言いながらアンナに触れた。

 すると皆の中にもそれはどんどんと流れ込み、伝わっていく。


「ほう、そうきましたか……」ミレイアは目を細める。


 アンナたち《暁の翼》の面々は大いなる流れの中にいた。

(みんな!)声というより、意識が共有された状態。どこかに浮いている感覚だ。

 アンナの中に、それぞれの中に様々な意識が流れ込む。


(アンナ、無事なようだな)

(でもこれってどういうことだろ?)

(私たちの意識が一つになったような)

(暖かい気持ちになりますね)


 アンナたちはこの流れに平穏を感じた。安心を。そして調和を。

 そうして不意に、無性にある思いがアンナたちに沸き上がった。


(これを守らなくちゃ!)


 アンナたちは世界樹の前に立っていた。


 ミレイアはアンナたちを見回し言った。


「お帰りなさい。あなたの“勇者”の在り方、見せていただきました」


 微笑みを浮かべるミレイアに、アンナが尋ねた。


「ミレイアさん、世界樹って何なんですか?」



一方その頃、エルザは“フォレスト”内にある書物庫の前にいた。


「このような重要な場所へ立ち入らせていただいて、

 よろしかったのですか?」


 重要機密とも呼ぶべき古文書や文献の納められた書物庫。

 案内に立ったエルフが答えた。


「国主ミレイアより、

『我らの事を良く知っていただく良い機会。

 求められれば隠さず見せよ』と言われています」

 そう言って扉を開けると、道を譲った。


「私はここにおります。どうぞ」


エルザは頭を下げ、書物庫へと足を踏み入れた。

そこは、世界樹、ルゼリア、世界の深淵へと続いているのだった。

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