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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第六章 商業都市国家群ヴァルニス編
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第八話 勇者PTルゼリアへ行く②

 アンナたち“友好使節団”を乗せた馬車が、

 亜人共和国ルゼリアの首都リュゼリオンへと辿り着いた。

 沿道にはエルフやドワーフ、獣人たちが往来しており、

 馬車を見かけるとこちらへとを振り歓声を上げる。


「おお、これだけの亜人たちが普通に生活している様は壮観だな」

 アリアが馬車の窓から見える光景に声を上げた。


「ええ、本当に物語の中に来たみたいで心躍ります」

 ユキナは興奮した様子でずっと窓に張り付いている。


「アハハ、ユキナはこういうの絶対好きだもんね。

 最初世界樹が見えた時も随分はしゃいじゃって……」

 リルルが大げさに手を広げ、ユキナをからかう。


「だって、とっても素敵だったから……」

 顔を真っ赤にするユキナに、ヤスコが助け舟を出す。


「リルルも大概、はしゃいでたよ。

 それよりも街の人々の反応、言われていたより好感触じゃないか?」


「ああ、国王のおっしゃられた“勇者の立場が云々”という奴か」

 アリアは「どう思う?」とアンナに話を振った。


「街の人たちのあの笑顔、演技には見えない。

 本当に歓迎してくれてるんだと思う」


 アンナは顔を《暁の翼》の面々へと向けると、腰に手をやり、


「《光輪の乙女たち》の名前、随分売れたって事じゃない?やったね」

 そう言って珍しくおどけて見せた。


「ハハハ」「そうですね」「やったね」「自分で言う?」

 馬車の中は笑い声に満ちている。


 それでもアンナは一人思う。


(“希望の象徴”、そのためにはこれからが本番。気を引き締めないと……)


 そうして馬車は世界樹の麓、 

 大きな樹に造られた城、“フォレスト”に停まった。


「これはまた、ファンタジーここに極まれりって感じだな」

「とっっっても、素敵です」

「中も早く見てみたいね」

「お宝がたくさんありそうね」

 ヤスコが皆から「不謹慎だ」などと注意されていると、

 エルフの兵士がやって来た。


「リ・エスティーネ王国の友好使節団の皆さんですね。

 どうぞこちらへ。国主のミレイア=フォレスタがお待ちです」


 大きな階段梯子を上り、アンナは奥に見える世界樹を見上げていた。

 そして、謁見の間へと通された。三つの旗の下、三つの椅子が置かれ、エルフ、ドワーフ、獣人の各代表が座っていた。皆アンナたちを見る目は鋭い。


 アンナたちが跪き、口上を述べる。


「リ・エスティーネ王国“友好使節団”、只今到着いたしました。

 魔王討伐、そして世界の平穏のため、

 なによりルゼリアの皆様との友好の懸け橋となるため、

 勇者カミシロ・アンナ、罷り越した次第です。

 どうぞよろしくお願い致します」


 国主ミレイア=フォレスタがそっと立ち上がり、微笑んだ。


「ようこそ、“友好使節団”の皆さま、そして“勇者”カミシロ・アンナ。

 遠路はるばるご苦労様です。皆様の到着を歓迎いたします。

 さぁ顔をお上げください」


そう言ったミレイアの笑顔、アンナを見つめるその視線に、


(何か心の奥まで見透かされているような。嫌な気持ちじゃない……だけど)


何かを測られているような居心地の悪さを感じているのだった。

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