第八話 勇者PTルゼリアへ行く①
アンナたち勇者PT《暁の翼》の面々は、
リ・エスティーネ王国から呼び出しを受け、王城へと向かい歩いていた。
呼び出しの理由に各々心当たりがあるのだろう。顔を見合わせ、話合う。
「いよいよ最後の一国。そういう事だよね」リルルは明るい声を上げる。
「そうだな。亜人共和国ルゼリアへの使節団派遣だろうな」アリアが応じる。
「エルフやドワーフ、それに獣人たち。冒険者ギルドで見かけることもあるが、
彼らの国、となるとどんな所なんだろうね」ヤスコも興味津々の様子だ。
「特にエルフなんて物語では神秘的に語られます。
そんな彼らの国、早く行ってみたいなぁ」
ユキナも文学少女の顔をして、その笑顔はとても晴れやかだ。
「ちょっと。私たちは友好使節団として行くことになるんだから。
魔王討伐の為、五大国の絆を深める。それを忘れないでよね」
先頭を歩くアンナは苦笑いを浮かべながらも、
「はーい」「分かっているさ」皆の士気は高い。その雰囲気には満足げだ。
(魔王の居所はまだ掴めていない。だけど始まる。そんな気がする)
首都エスティアの王城、その謁見の間。
傅くアンナたちの前には国王レオニス四世、
そして王国騎士団団長、
聖母マリアの姿があった。
「おそらくお主らも察しておろうが、いよいよルゼリアへと赴いてもらう。
五大国も最後の一つ。“友好使節団”としての責、見事果たしてきてもらいたい」
そう言ったレオニス四世の顔は曇って見えた。
後に騎士団団長が続く。
「編成等はいつもの通りだ。お前たちの振る舞いも堂に入ってきた。
お前たちのそのままの姿で事に当たれば、成功を収めてくれると信じている」
その言葉にレオニス四世が「しかしの……」と付け加えた。
「ルゼリアは国として聖ローマン教を信仰しておらん。
“勇者”に対する風当たりは……、これまでの国のようにはいかん。
それでもアンナよ、そなたはその“勇者”としの信を得てもらいたい」
そして、聖母マリアが一歩前へ出る。
「大丈夫ですよ。
今までのあなたたちの姿勢は私たちが、国民が、
そして女神さまがご覧になっておられます。
自分たちを信じて、今回のお勤め、無事務め上げてきてくださいね」
そう言って手を組み、祈りを捧げる聖母マリア。
「は、神代アンナ以下《暁の翼》、無事務め上げ帰ってまいります」
そう言ってアンナたちは立ち上がり、謁見の間を後にする。
(“勇者”とは“みんな”の希望の象徴。それはルゼリアの人々だって同じ。
今の私たちを見てもらって、力を貸してもらわなくちゃ。やってみせる)
アンナは胸を張り、前を見て歩く。
そのアンナの後姿にレオニス四世が眉を寄せる。
「間違いなく勇者アンナは成長しておる。頼もしい程に。
しかし、ルゼリアにはマナの象徴、世界樹がある。
アンナはそこで何を見ることになるのだろうな」
王国騎士団団長も腕を組み、眉を寄せるが、
聖母マリアは笑顔を見せる。
「全ては女神の御心のままに」




