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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第六章 商業都市国家群ヴァルニス編
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第八話 勇者PTルゼリアへ行く①

 アンナたち勇者PT《暁の翼》の面々は、

 リ・エスティーネ王国から呼び出しを受け、王城へと向かい歩いていた。

 呼び出しの理由に各々心当たりがあるのだろう。顔を見合わせ、話合う。


「いよいよ最後の一国。そういう事だよね」リルルは明るい声を上げる。

「そうだな。亜人共和国ルゼリアへの使節団派遣だろうな」アリアが応じる。

「エルフやドワーフ、それに獣人たち。冒険者ギルドで見かけることもあるが、

 彼らの国、となるとどんな所なんだろうね」ヤスコも興味津々の様子だ。

「特にエルフなんて物語では神秘的に語られます。

 そんな彼らの国、早く行ってみたいなぁ」

 ユキナも文学少女の顔をして、その笑顔はとても晴れやかだ。


「ちょっと。私たちは友好使節団として行くことになるんだから。

 魔王討伐の為、五大国の絆を深める。それを忘れないでよね」

 先頭を歩くアンナは苦笑いを浮かべながらも、


「はーい」「分かっているさ」皆の士気は高い。その雰囲気には満足げだ。


(魔王の居所はまだ掴めていない。だけど始まる。そんな気がする)


 首都エスティアの王城、その謁見の間。

 傅くアンナたちの前には国王レオニス四世、

 そして王国騎士団団長、

 聖母マリアの姿があった。


「おそらくお主らも察しておろうが、いよいよルゼリアへと赴いてもらう。

 五大国も最後の一つ。“友好使節団”としての責、見事果たしてきてもらいたい」


 そう言ったレオニス四世の顔は曇って見えた。

 後に騎士団団長が続く。


「編成等はいつもの通りだ。お前たちの振る舞いも堂に入ってきた。

 お前たちのそのままの姿で事に当たれば、成功を収めてくれると信じている」


 その言葉にレオニス四世が「しかしの……」と付け加えた。


「ルゼリアは国として聖ローマン教を信仰しておらん。

“勇者”に対する風当たりは……、これまでの国のようにはいかん。

 それでもアンナよ、そなたはその“勇者”としの信を得てもらいたい」


 そして、聖母マリアが一歩前へ出る。


「大丈夫ですよ。

 今までのあなたたちの姿勢は私たちが、国民が、

 そして女神さまがご覧になっておられます。

 自分たちを信じて、今回のお勤め、無事務め上げてきてくださいね」

 そう言って手を組み、祈りを捧げる聖母マリア。


「は、神代アンナ以下《暁の翼》、無事務め上げ帰ってまいります」

 そう言ってアンナたちは立ち上がり、謁見の間を後にする。


(“勇者”とは“みんな”の希望の象徴。それはルゼリアの人々だって同じ。

 今の私たちを見てもらって、力を貸してもらわなくちゃ。やってみせる)

 アンナは胸を張り、前を見て歩く。


 そのアンナの後姿にレオニス四世が眉を寄せる。


「間違いなく勇者アンナは成長しておる。頼もしい程に。

 しかし、ルゼリアにはマナの象徴、世界樹がある。

 アンナはそこで何を見ることになるのだろうな」


 王国騎士団団長も腕を組み、眉を寄せるが、

 聖母マリアは笑顔を見せる。


「全ては女神の御心のままに」

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