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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第六章 商業都市国家群ヴァルニス編
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第五話 鎮圧はつらいよ①

 帝国と国境を接する国コロボ。

 その郊外のとある施設で男が叫ぶ。


「何なんだ!これは。こんな……、こんなはずでは……」


 男の周りには部下であろう男たち。

 皆、鎧姿のまま俯いて立ちすくんでいる。


 目の前には項垂れた人々が横たわり、その様はまるで廃人の様だった。その光景に男は全身を震わせ、拳は音を立てるほどに強く握りこまれたままだった――



 コロボの隣国、スクビルでの護衛依頼を終え、首都ミラステラへと帰還した寅二郎一行。馬車内でずっと隣に座っていたアーデルから離れるとシドが言った。


「着いたな。アーデル、俺たちはそろそろ。ギルドへ行くことにする」

「ええ、もう次の仕事なんですね。お体にはお気をつけて」


 そうして、ずっとシドへ手を振り続けるアーデルと別れた。


「ちぇ、俺だって仕事出来るっての!なぁリラちゅわん」

「いつまでもグダグダ言わないの。みっともないよ」

「ああ、男なら黙って受け入れろ、トラジロウ」

「けっ!モテる男のご意見は耳に痛いね」

 ぼやき続ける寅二郎をなだめつつ、ギルドの扉を開いた。


 そこへ、ギルド職員の叫びが響いた。

「冒険者の皆さん!緊急クエスト発生です!

 帝国と接するコロボで反乱が発生、

 即時鎮圧するよう依頼が発出されました!」

 ギルド内は騒然となり、ギルド職員が次々と出入りする。


「コロボと言えば、あの帳簿の!」シドも叫び、


「スクビルの隣だっていう国のことか!」

「ついさっきまで行っていたのに」

 寅二郎たちがギルドの受付へと歩き出したところへ、また一報が入った。


「ヴァルニスとしても軍を動かす模様。総指揮は武聖トンペティ。

 このギルド内で作戦会議を行います。皆さんこのまま待機でお願いします」


「早いな」「武聖トンペティが動くのか」「相手の規模はどれほどだ」

 ギルド内のざわめきが一段と大きくなり、寅二郎たちは窓口で話しかける。


「おい、トンペティの爺さんが動くって?」


「すみません、こちらとしてもまだ情報が錯綜しております。

 落ち着いて、あちらの席でお待ちいただくようお願いいたします」

 混乱するギルド職員に言われ、寅二郎たちは受付を離れた。


しかし、ざわめきが広がる一方、心に重いものが乗ったようで、

椅子を前にしても誰一人腰を下ろす者はいなかった。

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