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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第六章 商業都市国家群ヴァルニス編
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幕間:闇より深い闇の中で

 誰も知らぬ場所――

 光一つ見えない闇の中。

 それでも何か、というよりその空間自体が蠢いた場所。

 そこに声だけが聞こえる。


「どうかな、三魔将が一人、《観測者》エイドスよ」

「ええ、視えていますよ。世界に広がる揺らぎがね」

「うむ、我らが動かずとも勝手に揺らぐ。下らんな、この世界は」

「それでもここまで続いている。面白いとは思わんかね、ノクスよ」


一切の闇の中でも微笑むのが分かる。


「一応お前も私の部下、そのはずなのだが。分からん奴よ」

「それでも処罰、処理しない。それがあなたが大魔王と呼ばれる所以でしょうな」

「ほう、世辞くらいは言うのだな」

「私は《観測者》。視た儘を述べただけですよ」


沈黙。それでもそこは蠢き続ける。


「どちらにせよ、この世界は我が平らげてやろう。

 そのために各地へと散った部下たちはどうだ?」

「準備は万端と言った所、あとは何かきっかけでもあれば」

「きっかけ、か。ヴァルニスはどうだ?」

「ええ、帝国が裏で動いているらしく揺らいでいる様子」

「帝国か。ベルゼが《リバース》を見せたからな」

「皇帝がいたく気に入り研究させているようですな」


「《調律者》エイドスは何か言ってきたか?」


時に広がり時に縮む。


「何も。随分楽しそうにやっているようです」

「ふむ、この揺らぎも奴の仕事。そう見れば全て順調と言った所だな」

「御意」

「いずれ私は辿り着く。《リバース》のその先へ。


 ――その時こそ、この世界は闇へと沈む」


その言葉を最後に声は消えた。残るのは何かが蠢く気配だけだった。



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