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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第六章 商業都市国家群ヴァルニス編
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第三話 助平はつらいよ②

 しばらく後に稽古は再開され、

 道場内に門下生の気合が再び響きだす。

 そんな中、師範代に鳩尾へと何やら塗らせながらトンペティは言った。


「お主らの力、よう分かった。なかなかのものだ。

 さすが、カジノの一件を収めた奴らよ」


「あの茶番で何の力が分かったんだよ。トンペティ」


「うるさい、よく聞け。

 お主ら聞けば相当な激戦を潜り抜けてきておる。

 どうじゃ?

 ここらで一度しっかりと休養をとってみては」


「休養ねぇ。しかし魔王捜索もあるしなぁ」


 トンペティが立ち上がり、その声には熱がこもる。


「だからこそよ。この先、より危険な道行きとなるであろう。

 その前にしっかりと“戦士の休息”を取るべきなのじゃ」

 

「なるほどな」「ホント大変だったもんね」「準備期間ということか」

 三人の声に、微笑みながらトンペティが続けた。


「幸い、ここは観光都市。

 市もあるし、ビーチや露天風呂なんかもあるぞ。

 海辺の漣にマナを感じ、露天風呂でマナと一つとなる。

 いわばこれも修行じゃな」


 トンペティの言葉にリラが微笑む。


「じゃぁあたし、水着買ってこようかな。

 シドも行くでしょ?ね」


「わ、わた、俺もか?」シドが慌てる。


「市へ行くのだし、護衛してよ。ねぇいいでしょ?トラジロウ」

「ああ、構わねぇけど……」

「行ってくるがいい。明日は浜辺で波と戯れようぞ」 

 トンペティの言葉にリラとシドは道場を出て行った。


「ふぉっふぉっふぉ」トンペティの笑い声に寅二郎はハッと顔を向け、


「水着に温泉、策士だな。この助平爺」


「何か儂に言いたいことでもあるのか?トラジロウ」


 トンペティが顔を向けると、寅二郎は綺麗な土下座で言った。


「師匠と呼ばせてください」


 こうして、いつの間にか、もっこり同盟が締結されたのであった。


 翌日、寅二郎たちはトンペティと共に道場近くのビーチへとやって来ていた。


「わぁ、これが海なのね。あたしちょっと泳いでくる!」


 リラはそう言ってパーカーをシドへ渡し、浜辺へと走り出した。

 リラの白い肌に、蒼いビキニが良く映える。

 ビーチの他の観光客の注目を集めている。


「リラちゅわん、楽しそうだな。水着も良く似合ってる。

 それに比べてシド、お前せっかくなんだから水着買って来いよ」


 寅二郎がシドを振り返り、ため息をつく。

 シドはパーカーに、薄手のカーゴパンツ。

 日に照らされ汗をかいている。


「お前だって、水着じゃないだろう」

「俺はいいんだよ。別に泳ごうって気もねぇし」

「まぁまぁ、いいではないか。リラのあの姿、眼福じゃよ」


 そう言って三人はビーチパラソルを立て、

 シートを広げると、しばらくリラの楽しそうな姿を眺めるのだった。


「ああ、楽しかった」と戻ってきたリラと浜辺で昼食を取ると、


「さて、ここからが本日のお楽しみ、じゃよ」

 そう言ったトンペティが、浜辺に何やら立て始めた。


「おい、漁網なんか広げてって、まさか“ビーチバレー”か?」


「そうじゃ、“びいちばれぇ”じゃ。

 負けた方が勝った方の言うことを、

 何でも一つだけ聞く。そういう勝負じゃ」


「ええ?何でもぉ」「お前らの魂胆が見え見えすぎるな」


 リラやシドはあまり乗り気では無い様子。

 すかさず寅二郎とトンペティ、

 “もっこり同盟軍”はそろって土下座していた。


「頼む、この通りじゃ」トンペティたちの姿にリラは微笑む。

「いいよ。ビーチバレー?何か楽しそうだし」

「リラ!」シドは声を上げるが、


「ふっふっふ。シド、忘れたとは言わせんぞ。レギオンブルク。

“もっこり大作戦”の借り、しっかりと返させてもらう!」

「ふん、返り討ちにしてやろう」


 こうしてシドリラVSもっこり同盟のビーチバレー対決が幕を開けた。


しかし、


「こら!トンペティ、リラの胸ばっかり見てんじゃねぇ」

「馬鹿、トラジロウ!貴様シドにやられすぎじゃ!」

 寅二郎たちの連携はズタボロで、

「はい!シド行ったよ」

「任せろ!これで終わりだ……」

 シドのスパイクが寅二郎の顔面にクリーンヒット。


 あっという間に勝負は決したのだった。


「あいててて、チクショウ。シドの奴思い切り当てやがって」

 寅二郎は全身ボロボロだ。


「儂らの負けじゃ。シドリラよ、望みは何じゃ?」


 清々しい笑顔でトンペティが言うと、二人は顔を見合わせ、


「保留、かな。その時が来たらすっごいのお願いするから、覚悟しててね」

 いたずらっ子のような笑顔でリラが言い、

「そうだな。俺も後のお楽しみに取っておこう」

 シドも微笑むと、みんなで片づけを始めた。


「おい師匠。このままじゃまずくねぇか」

「まだ勝負は終わっておらん。そろそろじゃ」

 もっこり同盟がひそひそ、話していると、


「このまま帰ってもいいけど、汗かいちゃったし。

 “露天風呂”?そこへ行ってみてもいいかもね」

「確かに。夕日を眺めながらの“露天風呂”、とても良さそうだな」


『キタ!』もっこり同盟が心の中でガッツポーズ。

荷物を抱えながら、二人は心の中で第二ラウンドの鐘を鳴らすのだった。

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