第二話 一攫千金はつらいよ⑪
エンダープへと侵入するため船に乗る寅二郎一行。
波も静かで月の光が辺りを照らし、
エンダープの島影がよく見えた。
しかし、そんなことよりも、と寅二郎が言った。
「なぁこの舟、どうやって動いてるんだ?帆が無いんだが」
「ああ、こいつは魔鉱石を燃料に自前で進めるのさ」
舵をにぎるサマルクスが言った。
「後ろを見てみな」
というのに三人が舟の後ろを見ると、
海水を吹き出すようにして進んでいる。
「スクリューってのを回して、海水を掻き出して進んでるイメージだな」
サマルクスの説明にシドが驚きの声を上げる。
「すごい技術だな」
「まぁまだ魔鉱石の変換効率も悪くてこのくらいの舟にしか使えないがな」
舟の話になると楽し気に話し出すサマルクス。
しかし、すっと眼を凝らし言った。
「私、いや俺はな、実はヴァルニスの会計局の人間なんだ。
フォルトゥナの不自然な金の流れを追っている」
(やはり、ただの調査依頼じゃなかったか)シドは一人納得した。
「聞いたぜ?カジノで“無限収納”一歩手前まで行ったってな」
「ああ、何でも入る袋ってやつな。
そういえばその勝負についてきた旅行券。
あれも行先は“エンダープ”だったな」
寅二郎はフォルトゥナのカジノでの出来事を思い出していた。
「止めときな、あの袋は」サマルクスの言葉に三人が首を捻る。
「あいつはな、別名“国呑みの袋”と言われている呪いのアイテムなのさ」
「国呑み?」
「ああ、その昔あの袋を巡って戦が起きたとまで言われているんだ」
「呪い、ねぇ」寅二郎はピンときてはいないようだが、
「怖いね」リラは自分の肩を抱き、シドが考え込んでいると、
サマルクスが声を上げた。
「見えたぜ、エンダープだ。接岸するぞ。準備しな」
サマルクスの言葉に、三人は気を引き締めるのだった。




