第二話 一攫千金はつらいよ⑨
翌日、寅二郎たちはギルドに顔を出していた。
「よう、受付のにぃちゃん。エルドの事覚えてる?」
気さくに話しかけた寅二郎だったが、
エルドと揉めていた受付の男は声を顰める。
「ええ、それがしばらくここを離れる、と挨拶に来まして……」
聞くと、昨日の夕刻、肩を落としたエルドが来たらしい。カジノで大負けしカジノ側の依頼で、ある孤島への護衛依頼を受けさせられたという。
「ある孤島?」シドが眉を顰め尋ねた。
「ええ、“エンダープ”という孤島なんです」
(繋がってきたな。いや、最初から繋がっていたんだ)
シドは不安が形になっていく気がした。
「それって、カジノの特別勝負で言われた?」
「ああ、何でも入るって袋とセットで付いてきたやつか」
リラや寅二郎もその孤島の名に覚えがあるらしい。
「それが“エンダープ”には良くない噂もありまして……」
受付の男の眉は顰められたままだ。
「“エンダープ”から帰ってきた人を見たことがない、と」
「そんな、馬鹿な」
「ありえないだろ?そんなこと」
「ただの島、なんでしょ?そこは」
寅二郎たちに不安が広がる。
「ええ、勿論島への定期便もあり、人が往来するのですが、
時折、一人旅の人だったり、冒険者などが行方不明となるんです」
「怪しいな、その島」寅二郎がポツリと言った。
「ああ、調べてみるべきだな」シドも言い、リラは頷いた。
「それなら、ちょうど“エンダープ”への護衛依頼が出ているのですが」
受付の男が一枚の依頼書を指差す。
それをシドが掲示板から取って戻ってきた。
「“エンダープの環境調査”?依頼主はサマルクス、とあるな」
シドが依頼書を読み上げ、寅二郎は言った。
「会ってみよう、そいつに。エルドが心配だしな」
三人は顔を見合わせ頷きあうと、ギルドを出るのだった。




