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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第六章 商業都市国家群ヴァルニス編
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第二話 一攫千金はつらいよ⑦

 ディーラーの対面にリラ、寅二郎、シドの順で座った。


「やってみたくて座ったけど、ルールがよく分かってないの」


 リラの声にシドが答えた。


「二十一を超えたら負け。それだけ覚えとけ」


「それでは“フォルトゥナハンド”、始めますね」ディーラーが声を上げた。


 そして、カードを切り始めたディーラーの手元を見ながらシドが思う。


(カードを撫でるような丁寧な切り方。仕込まれているのはカード自体かな)


「それではどうぞ」とディーラーがカードの山を差し出す。


「ああ、じゃあ俺が切ろうか」シドが山を受け取る。


 シドもそっと山の縁をなぞるように指を滑らせると、一瞬指を止めた。


 しかし、すぐに山の上からごく薄く、それでいてしっかりとした厚みを取った。


 そして山を戻す際、取った束を置く位置を、ほんの指一本分、横にずらした。


 ディーラーは山を整えるとカードを配り始めた。


 それぞれ配られたカードに思い悩む。


(19かぁ、止めるときはスタンド、だっけ)リラは19で止めるようだ。


(コインを手元に置けば、

 バニーちゃんの胸、もっと見えるかな)寅二郎は考えていない。


(まぁ、しばらくは様子見だな)シドは口元だけで微笑む。


 ディーラーは皆のカードを開く。


 今回はディーラーの一人勝ちだ。


 そうして、しばらく勝った負けたを繰り返していたが、


 ある時ディーラーは手を止めた。

 それは一瞬ではあったが、確かに間が出来た。


「おいおい、勝負はまだこれからだぜ!」


 寅二郎が催促の声を上げ、勝負が再開される。

 徐々にしかし確実に寅二郎が勝ち始め、

 ディーラーは笑顔が引きつり出すのを止められない様子。


シドは流れがこちらに来ていることを確信し、笑みを浮かべるのだった。

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