第二話 一攫千金はつらいよ⑥
当たって声を上げる者や、
何やらブツブツ、呪詛を唱える者。
一喜一憂する人々を眺めながら寅二郎は二階へと階段を上った。
二階フロアがメインフロアの様だ。左手に大きなルーレット台等が見え、右側にはポーカーやブラックジャックといったカードゲームの台が見えた。
そして、正面にはド派手な装飾がこらされた景品棚が見えた。
宝飾品や武器防具で山が作られ、
その頂にはスポットライト。
「何だ?あれ。汚い袋がてっぺんに」寅二郎が指を差した。
「魔法の袋“マジックバック”かな?」リラは首を捻った。
「あれだけの演出だ。相当いい物なんだろう」
シドはカウンターへ歩いていくとコインへ交換。
そのついでに眼を凝らし説明文を読んだ。
「何でも入る魔法の袋。と書いてあるな」
「何でも?何だそりゃ」
「容量が小さくても、結構値打ちがあるらしいもんね」
「確かに便利だろうけどよぉ」
「“なんでも”ってくらいだ。冒険者なら垂涎の品だろうな」
あまり実感が湧かなかったのか、寅二郎はあたりを見回し始めた。
そして、
「お!あれだ。行こうぜ」と元気よく走り出した。
リラやシドが寅二郎の行く先を見ると、
ブラックジャック風ゲーム、“フォルトゥナハンド”のテーブルだった。
ディーラーは女性。うさ耳をつけたバニースーツの美女が立っている。
「もっこりバニーちゃん!勝負!勝負!」勢いよく腰かけた寅二郎。
その後ろにリラやシドがため息を付きながら立つことになった。
「もう、ほどほどにね」口を尖らせつつも、リラは寅二郎を応援するようだ。
「お手並み拝見、といこうか」シドは腕を組み苦笑いを浮かべた。
カードが二枚づつ配られたが、寅二郎は自分の手札をちらりとしか見ない。
「ふうむ」と唸り声を上げながら、ディーラーの胸ばかり見ている。
「馬鹿!ちゃんとやりなさい」リラに頭を叩かれた。
それでも寅二郎はテーブルにコインを叩きつける。
「勝負だ!スタンド!」
それぞれのカードが開かれる。
寅二郎は10と9。ディーラーは20。
「ああ、負けだ」寅二郎のコインがディーラーへと渡る。
リラやシドもため息を付く。
その後何度か賭けるがことごとく寅二郎は負けた。
しかし、寅二郎はディーラーの胸を見ながらガンガン賭ける。
「まだまだ、勝負はこれからだぜ!」特に気に留めることなくコインが減っていく。すると徐々にではあったが寅二郎が勝ち始めた。
(……イカサマだな。勝率操作あたりか)シドは何も言わない。
「あら?トラジロウ、調子よくなってきた?」リラが声を上げる。
「まぁな!これが俺の実力よ!」寅二郎が力こぶを作る。
徐々に増えていくコインに、リラも気を良くしたのか、
「何か楽しそうね。私もやってみようかな」と言い出した。
「はは!いいじゃねぇか、リラ、やってみろって!」寅二郎も声を上げる。
リラが楽しそうに席に着く。
それまでずっとディーラーの手元を見ていたシドが言った。
「はは、俺もまぜてもらおう」
静かに、しかし不敵な笑みを浮かべ、シドが席へとつくのだった。




