第二話 一攫千金はつらいよ⑤
まるで宮殿の様な豪華な外観をしたカジノ、
その城門の前の広場は市が立つほど賑わっていた。
その内の一つから寅二郎に声がかかった。
「兄さんたち、カジノ、行くのかい?」
寅二郎が見ると、シートを敷いて小物類を販売している露店だった。
店主は薄汚れた髭を蓄えた老ドワーフ。
寅二郎をギロリと一睨みすると言った。
「あまり夢を見すぎるなよ」
「カジノ前で商売する人のセリフとは思えんな」シドが眉を顰める。
「カジノに嵌まっちまってこうなった。いわばこりゃ俺の復讐だな」
老ドワーフの真剣な眼差しに寅二郎は、
「はは、じゃぁ俺もその復讐にのっかってやるよ」
そう言って、リラに言った。
「リラ、何か見繕ってくれ。みっつ、何か買おうぜ」
リラは微笑むと、
「分かったわ」そう言って小物を見回した。
「おじさん、これちょうだい」
そういってリラが選んだのは、サイコロのかかったペンダントだった。
「はは、おそろいだな」シドが微笑み一つ受け取る。
「何か、これで勝てる気がしてきたぜ」寅二郎も笑い首にかけた。
「おじさん、ありがとね」リラも微笑み首にかける。
「ふん、お前さんたちを見ていると、
復讐なんつっても馬鹿らしくなってくるな」
老ドワーフも微笑みを浮かべると、
「お前さんたちの幸運を祈ってるよ」
そう言って手を振り、送り出してくれた。
(やはり、一筋縄では行かない場所の様だ)
シドはサイコロを触りながら、カジノの裏側に思いをはせていた。
しかし、中へと入るとシドの不安は吹き飛ばされそうになった。
大広間には赤い絨毯が敷かれ、壁や天井には華やかな明りが灯っている。一階部分はスロットのフロアらしく、ずらっとマシーンが並ぶ。人々がマシーンの横にあるレバーを引き、回転する絵柄をずっと見ている。時折、当たったのか声を上げる人もいる。
「こりゃ豪気だな。フロアいっぱいのスロット、壮観だな」
寅二郎が目を丸くし、周りを見回す。
「お客さんの熱気がすごいね」
リラは人々の熱気に当てられたのか、顔を火照らせている。
「ああ、とても明るくて煌びやかだ。しかし――」
シドも感心しながらも、先ほどの老ドワーフの顔を思い浮かべていた。
(あくまでここは表の顔、裏は外の人たちとつながっている。そんな気がする)
「さぁバニーちゃんを探しに行くぞ!冒険の始まりだ!」
寅二郎がぐんぐん歩き出すのを、シドはため息をつきながら付いて歩くのだった。




