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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第六章 商業都市国家群ヴァルニス編
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第二話 一攫千金はつらいよ①

 寅二郎たちの乗った乗合馬車が山道を行く。

 道端には、使い捨てられたつるはしや、

 壊れたトロッコが転がっていた。

 道自体も整備されており、開発された跡が見て取れた。


「首都ミラステラに行く前に、ヴァルニスの“今”を見ておきたい」


 シドの言葉に寅二郎とリラは首を捻る。


「“今”?」


「ああ、ヴァルニスに住むひとたちの“匂い”だな」


「“匂い”って言うと、吟遊詩人リュートさんが言っていたやつだね?」


 リラは納得したのか笑顔で返したが、

 寅二郎は鼻をひくつかせて言った。


「匂いって言っても山の中の匂いしかしないぞ?」


「本気でそう思っていそうで怖いな。トラジロウは」


 シドは盛大にため息を付いた。

 そんなシドの様子に寅二郎は慌てて言った。


「ち、違うぞ。冗談で言ったんだって。冗談……ホントだよ?」


 汗を一滴垂らしながら言った寅二郎に、リラが言った。


「そういう事にしておいてあげる。で結局どこへ行くの?」


 リラの言葉を待っていたわけでは無いだろうが、先頭の御者が言った。


「見えてきやしたぜ。加盟国の一つ、フォルトゥナが」


 その言葉に三人が荷台で立ち上がり前方を眺める。


 山道を下った先に街が見えた。

“商業都市国家”と言われるだけあり、

 どれも洒落た外観の建物が多く見えた。


 中でも一際目を引く建物が――


「おい!アレ何だ?」寅二郎が指差し叫んだ。


 まるで王宮の様な煌びやかな外観。

 城壁で囲まれ大きな庭も見える。

 そして屋上には大きな文字が書かれていた――カジノ、と。


「カジノ!」「あれが!」リラやシドも声を上げる。


「ま、この馬車で行くわけじゃないんですがね。俺も行きてぇな」

 御者のボヤキを聞き流し、街の停車場で三人は馬車を降りた。


「おお、街の雰囲気。悪いか、これ?みんなにぎやかに見えるぞ」

 カジノへ向かっているのだろう、街の人々は楽しそうに見える。


「まずは情報収集がてら、ギルドに顔を出してみよう」


シドが言い、三人で歩き出した。

このギルドで、街の賑やかさの正体、

その一端に触れる事となるとはまだ誰も知る由も無かった。

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