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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第五章 亜人共和国ルゼリア編
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第十話 研究馬鹿はつらいよ⑥

 泣き疲れたのか眠ってしまったイェルクをおぶって、

 寅二郎たちはボルカンの下へ帰った。

 研究開発室に居たボルカンはイェルクを見ると立ち上がり、

 傍まで走り寄った。


 ダンジョン内での顛末をシドから説明され、

 俯くイェルクに拳を振り上げるボルカン。


 しかしその拳は振り下ろされることは無かった。


 そっと手を開き、イェルクの肩を掴むと、


「よく帰った」とだけ言った。


 その後、


 イェルクは大地炉議会に復帰することになった。

 末席を与えられ、ぎこちなくも周りの研究員たちと会議に参加している。

 その後ろ姿を見ながらボルカンが寅二郎に言った。


「あいつはな。――優しすぎたんだ」

「かもな」

「一人で抱え込んじまって周りが見えなくなっていた」

「でも、今は皆が、あんたがいる。そういう事だろ?」


 イェルクの後姿を見続けるボルカン。

 ボルカンの横を通り過ぎながら、

 その肩を叩いて部屋を出た寅二郎は言った。


「さて、行くか」


「ああ、そうだな」

「ええ、分かったわ」

 三人の顔はイェルクのこの先を思い複雑だった。


 はずだが、


「もっこり美女を訪ねて」


寅二郎のセリフに“シドリラキック”を食らわせ、

皆苦笑いで歩き出すのだった。

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