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第十話 研究馬鹿はつらいよ⑥
泣き疲れたのか眠ってしまったイェルクをおぶって、
寅二郎たちはボルカンの下へ帰った。
研究開発室に居たボルカンはイェルクを見ると立ち上がり、
傍まで走り寄った。
ダンジョン内での顛末をシドから説明され、
俯くイェルクに拳を振り上げるボルカン。
しかしその拳は振り下ろされることは無かった。
そっと手を開き、イェルクの肩を掴むと、
「よく帰った」とだけ言った。
その後、
イェルクは大地炉議会に復帰することになった。
末席を与えられ、ぎこちなくも周りの研究員たちと会議に参加している。
その後ろ姿を見ながらボルカンが寅二郎に言った。
「あいつはな。――優しすぎたんだ」
「かもな」
「一人で抱え込んじまって周りが見えなくなっていた」
「でも、今は皆が、あんたがいる。そういう事だろ?」
イェルクの後姿を見続けるボルカン。
ボルカンの横を通り過ぎながら、
その肩を叩いて部屋を出た寅二郎は言った。
「さて、行くか」
「ああ、そうだな」
「ええ、分かったわ」
三人の顔はイェルクのこの先を思い複雑だった。
はずだが、
「もっこり美女を訪ねて」
寅二郎のセリフに“シドリラキック”を食らわせ、
皆苦笑いで歩き出すのだった。




