第十話 研究馬鹿はつらいよ③
一度体験したことで要領を得たのか、寅二郎たちは何度か遭遇したゴーレムを大した被害を受けずに退ける事が出来た。そして第9階層までたどり着いていた。
後を尾行していたフジコがほくそ笑む。
(脇目も降らず最深部を目指すってことは、
やはりあの人のところへ行くつもりだったのね)
フジコが尾行しているとは露知らず、
第9階層を進む三人は不思議な光景に遭遇した。
「何だ?ここは」寅二郎が口を開けたまま呆けた顔になる。
通路がいきなり途切れ、谷の様になっている。一本の橋だけが掛かっており、谷底も天井も闇が広がるだけで何も見えない。しかも左右両端には大きな歯車が絡み合い、機械式時計の様にぐるぐると回り続けているのが見える。
「外ではありえない光景だな」シドも驚き、
「谷底も全く見えないね。何だか怖い」リラも見えない恐怖に身を竦めた。
「それより、何だか変な音がしねぇか?」寅二郎が耳を澄ます。
「ん?」「何の音?」二人はどの音を言っているのかわからない様子だ。
「ほら、歯車が回る音じゃなくて……」
寅二郎の言葉に二人も耳を澄ます。すると、
歯車がぶつかるガインガインと言った音や、グーングーンといった回る音。それ以外に無理やり何かを押し付けているようなオーーンという音が聞こえてきた。
「ほら、何か不自然じゃねぇか?何か力づくで歯車を押しているような」
寅二郎の頭の中では、
機械がオーバーヒートしそうになっている場面が浮かんでいた。
「そう言われても……」「正常である時を知らないしな」
二人にはピンと来ていないようだ。
「しゃぁねぇ、どちらにしても行くしかないしな」
三人は不安を感じながらも歩き出した。
(なるほど、エネルギーの過剰反応ってところかもね)
フジコは三人の後を続きながら、この先にお目当てがあると確信するのだった。




