↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第五章 亜人共和国ルゼリア編
155/310

第九話 鑑定はつらいよ②

 寅二郎が連れてこられたのは、

“フォレスト”の見張り台の一つ。

 足元から広がるリュゼリオンの街並み、

 そしてその街を囲う外壁が見えた。


「さて、トラジロウ、何が見える?」


 眼下に広がる絶景を見回し、ボルカンが言った。


「何が見える?ったってなぁ。綺麗な街並みが見えるよ」


「そうじゃねぇ。お前、帝国の“ベルンの壁”だって見てきたんだろう?」


「ああ、“ベルンの壁”は見たけどよ。

 つまり、アレか?この街の外壁がどうかって話か?」


 ボルカンは声を出さず、ただ寅二郎を見て頷いた。


「確かに“ベルンの壁”を見たよ。

 めちゃくちゃ頑丈そうだった。

 実際“コルダ丘陵の時”だって残っていたしな」


 寅二郎はリュゼリオンの街並を見ながら答える。


「だけど、俺ならこの街の外壁を作り続けるね」


 その言葉にボルカンの瞳に力が入り、寅二郎に尋ねた。


「それは、なぜだ」


 寅二郎はボルカンの迫力にたじろぎながらも言った。


「なぜって、そりゃ“再建するのに早そうだ”って感じか?

 上手く言えねぇが、“絶対”壊れない壁なんてのは無理じゃね?って思うんだ」


 ボルカンは息を呑む。


 そして、それでと言った。


「今見えている壁はさ、壊れても比較的誰にでも建て直すことが出来そうだ。

 でもな“ベルンの壁”みたいな“最新技術の結晶”ってのは壊れちまったら大変そうでな」


 それに、と寅二郎は遠くの空を見上げながら言った。


「俺が別の世界にいたってのは知ってるよな?

 その世界にな、“絶対安全”って言われていた施設があってな。

 もし万が一の場合も対策しているから安心って。

 でもそこがとんでもない天災に見舞われて、やられちまった」


 ボルカンやシド、リラも息を呑んだ。


「確かに施設の被害ってのは想定内だったらしい。でもな、施設自体が水浸しになっちまったんだ。しかもその施設の扱ってる品物が厄介な品物らしくて、下手に手が出せなくなっちまったんだと。俺がこっち来る時でもまだ復旧の目途は立ってなかったな」


 寅二郎はボルカンへと向き直り、言った。


「最新技術を求めるなって言いたいんじゃない。

 つまりな、

“物は壊れる”。その前提で作ったり、

 使ったりした方がいいんじゃねぇかな?って

 そんなことを今、思い出したよ」


 寅二郎の前世の話、その話を聞いたシドやリラは深く考え込んだ。


 そして、ボルカンは寅二郎の眼をまっすぐ見たまま言った。


「合格だ。お前に頼みたいことがある」



一方、ミレイアに報告を終えたパトラはミレイアの眼を見て言った。


「そんな訳でな、私はトラジロウを婿にする」

 唐突なパトラの宣言にミレイアは目を丸くした。


「ふふ、随分信用したのね。あの“勇者”を」


「“勇者を”というより“トラジロウを”という感じだな」


「ごちそうさま。

 だけど忘れないで、“欲張りと世界樹”のお話を。

 それだけはお願いするわね」


 ミレイアの瞳に不安げなものを見たパトラは言った。


「ああ、忘れない。あの男なら、トラジロウならきっと大丈夫だ」


 パトラの眼に決意の光を見たミレイアは話を変えた。


「さて、もうひとりの“勇者”は世界樹に何を見るのかしらね」


そう言ったミレイアとパトラ、

二人は自然と世界樹を見上げていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。