第八話 勇者PTカルナードへ行く⑦
翌日、
アンナたちは魔族討伐の報告に、
カルナード国王ザハリムの前で跪いていた。
「おお、勇者アンナよ。
“光輪の乙女たち”の名に恥じぬ見事な手並みであったと聞いている。
これで魔族の脅威は去った。カルナードを代表して礼を言うぞ」
アンナは顔を上げ、ザハリムの眼を見て言った。
「国王様、お伺いしたいことがございます」
「何かな?」
「あの場では、魔族に奴隷たちが売られていました」
「何と!魔族に我が国の奴隷が」
その言葉に、エルザの眉がわずかに動いた。
そして顔を下げたまま思った。
(白々しい)
「そもそも、奴隷制度自体がいかがなものかと」
「何を言うか、奴隷制度は我が国の文化、伝統であるぞ」
ザハリムが声を荒げる。
「それを言うのは内政干渉。勇者といえどお門違いではないか!」
アンナはぐっと唇を嚙みしめる。そこへエルザが助け舟を出した。
「畏れながら、奴隷制度は今やどの国でも廃止、
もしくは禁止されております」
(表向きはね……)
帝国のレギウス三世の顔を浮かべながらエルザが言った。
「黙れ!よその国のことなど知らぬ。
それに“勇者”とは“魔族討伐の旗印”!
それを奴隷ごときで我が国に牙を向くような真似をするとは」
ザハリムの言葉に、
アンナは立ち上がりすっと眼を閉じた。
「違う」
「何だと?」
「“勇者”は“希望の象徴”」
そこでアリア、リルル、ヤスコ、ユキナが立ち上がり、アンナの横に立つ。
「ただ国のために剣を振るうのではありません」
ゆっくりと、噛みしめるように言う。
「国も、家名も、身分だって越えて“人々”のために戦う」
そっと眼を開ける。
「それが国にとって不都合でも」
そしてアンナは叫ぶ。
「私は“すべての人の勇者”です」
その場の誰もが息を呑んだ。
ザハリムさえも何も言えない中、ジャファルが立った。
すっと首元のペンダントを引きちぎると足元に落とし、踏み砕いた。
「父上、いや国王。我々の負けです。我がカルナードも変わらなければ。
アンナ、いや、勇者アンナよ。しばらく時間をくれないか。
奴隷制度の件、それにカルナードの未来について考える時間が欲しい」
そして、静まり返った謁見の間に、
「よきに計らえ」
と、ザハリムのか細い声だけが響くのだった。




