第八話 勇者PTカルナードへ行く②
謁見の間には国王レオニス四世に王国騎士団団長、聖母マリアの姿があった。
「神代アンナ以下《暁の翼》、王のお召しにより参上いたしました」
アンナたちは膝を突き、頭を垂れた。
「うむ、帝国より帰りし折より、そなたたちの名、まさに日の出の勢いよな。
巷では《光輪の乙女たち》とまで呼ばれ崇められているとか……」
レオニス四世は笑顔で、アンナたちを讃えた。
「崇められるなんてそんな」
と、アンナが謙遜する。
そのアンナの顔を見つめ、
レオニス四世が言った。
「そんなお主に次の依頼ぞ。此度は砂漠王国カルナードへと赴いてもらう」
(来たわね。次はカルナード!)
アンナの手に力が籠る。
そして、騎士団長が一歩前へと進み、後を継いだ。
「今回も帝国の際と同様に友好使節団を組織する。メンバーも変更は無い。
次の任務地、カルナードでも五大国の友好を深める事、期待している」
「カルナードは、“砂漠”を冠する程、暑く過酷な地。
体調にはどうかお気を付けて」
最後に聖母マリアの言葉で送られ、アンナたちは謁見の間を後にした。
アンナの背中を見送るレオニス四世の表情は硬い。
そんなレオニス四世に騎士団長が畏れながらと声をかけた。
「王よ、何か心配事でも?」
「うむ、アンナは今回、
魔王討伐よりも困難な選択を迫られるやもしれん。とな」
「魔王討伐より困難?それは」
「カルナードは今回。勇者の囲い込み、婚姻辺りを狙っておろう」
「婚姻、ですか。それはまた」
「婚姻を断る事自体は構わん。されど断り方次第では……」
そう言うとレオニス四世は眉をしかめ、マリアを向いた。
「聖母マリアよ、そなたも薄々は感づいておったろうに。
しかし、アンナに何も言わなんだ。少し冷たいのではないか?」
レオニス四世に悪戯っぽい笑顔を向けられ、
ふうっと息を一つつくと、レオニス四世に微笑を浮かべマリアは言った。
「全ては女神の御心のままに」
一方、アンナたちは王国騎士団第三騎士団副団長、何度も共闘したエルザと合流していた。
「皆さん、今回も宜しくお願い致します」
騎士団の正装に身を包み、エルザはアンナと握手を交わした。
「よろしく、エルザさん。こちらこそ頼りにしてます」
アンナは笑顔で応え、馬車へと乗り込んだ。
「マリア様の言葉じゃないけど、暑そうだねぇ」
ヤスコは暑さが苦手のようだ。
しかし、
「その辺りは対策してくれていると聞いている。信じよう」
「それに砂漠のお城なんてロマンティックじゃないですか?」
「カルナードは歌や踊りで有名なんだって。楽しみだね」
《暁の翼》の面々の士気は高い。アンナも笑顔で言った。
「カルナードも五大国の仲間。私たちでしっかりと絆を深めましょう!」
ただ、その言葉を口にしながらも、
アンナの胸の奥には、説明できない重さが残っていた。




