第八話 勇者PTカルナードへ行く①
“勇者”神代アンナ率いる《暁の翼》の面々は帝国から帰還。
ガルディア帝国との同盟も結び、
彼女たちはもはや《光輪の乙女たち》と呼ばれ、
その名は大陸全土に轟くほどであった。
しかし、当のアンナはどこか不安げな表情を浮かべている。
そんなアンナの表情にPTの盾役、三枝アリアが言った。
「どうした、アンナ。悩み事か?」
《暁の翼》の面々はリ・エスティーネ王国国王レオニス四世に呼ばれ、
謁見の間へと向かう途中だった。
「帝国から戻ってから時折、そういう顔をしますよね」
“聖女”のスキル持ち、PTの回復役である汐宮ユキナが心配そうに続ける。
「悩みという程でもないんだけど……」アンナは立ち止まった。
「帝国から戻って名前もたくさん知ってもらえた。
確かに簡単な道では無かったが、今私たちはここに立っているのでは?」
PTでは牽制に妨害、頭脳担当の松風ヤスコが言い、
「後は大魔王さえ見つかれば、
今すぐにでもばーーーんって燃やしちゃうよ!」
PTの最大火力、魔法使いの桐生リルルは持ち前の明るさで場を盛り上げる。
「そうだね。だけどその大魔王の居所は今だ掴めない。
それに……それだけでいいのかな?って」
アンナが信頼する《暁の翼》、
PTメンバーだからこそ、アンナは素直に心情を吐露した。
「聖母マリアの言っていた“希望の象徴”というやつか」アリアは腕を組み、
「確かに重いお役目ですね」ユキナも目をそっと閉じる。
「しかし、五大国だってまだ二つ行けていないだろう?
まだまだこれからでは無いのかしら?」ヤスコが言い、
「そうだよ。仲間が増えれば大魔王だってすぐにでも見つかるよ」
ちっちっち、と人差し指を突き出し横に振り、リルルが言った。
「それに前に言っていただろう?“みんなで前を向いて歩いていこう”って」
ヤスコの言葉に、リルルが続けた。
「何でも言ってよ!アンナのためにみんな頑張っちゃうから!」
アンナが見回すと、皆笑顔を返してくれた。
(そうだよ。私には力強い仲間がいるんだ。それが五大国中に広がれば……)
胸の中の熱い思いを再確認したアンナが笑顔で言った。
「行こう!みんな。国王様に会いに」「おう!」
と、《暁の翼》の面々は謁見の間へと足を踏み入れた。
アンナは知らなかったのだ。この謁見が、彼女にとって
“勇者であること”と“自由であること”を分ける問いになることを。
いつも「異世界はつらいよ」を読んでくださりありがとうございます。
ふと思い立って新作短編を投稿させてもらいました。
タイトルは、
『元祖天才馬鹿ホント―暴走王女アナのドタバタ☆珍道中―
-世直しは食欲から始まる-』
です。
こちらは短編連作の予定で、不定期更新になりますが、
本編の更新と並行してゆるく続けていきます。
コメディ色強めのドタバタ作品なので、
気分転換に楽しんでいただければ、と思います。
よければ合わせてご一読いただけると嬉しいです。




