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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第五章 亜人共和国ルゼリア編
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第四話 探究者はつらいよ③

 翌朝、ブラククの言葉が気にかかり、寅二郎たちはギルドへ顔を出した。


「ああ、辻斬り事件ですね。確かに調査依頼は出ています。ですが……」


「何か問題でもあるのか?」言い淀む受付の男にシドが尋ねた。


「問題と言いますか、被害者たちは刺されたり切られたり、といった暴行を受けたわけでは無いんです。ただ茫然と、『わからない』とか『思い出せない』と言うばかりで」


「記憶の欠損、と言ったところかな?」

「ええ、それに被害者の多くが“聖ローマン教の関係者”ってことで」

「うん?」

「この街では聖ローマン教ってこと自体がちょっと“アレ”でして……」


“異端”とでも言いたいのか受付の男が口ごもる。


(“聖ローマン教の関係者”、ブラククさん、大丈夫かな)


 リラが不安な表情を浮かべるが、


「いいじゃねぇか。依頼は依頼。

 とっとと犯人とっ捕まえて酒にでもしようぜ!」


 元気づけようとでもいうのか、寅二郎が声を上げ、

「本当に変わらんな、お前は」とシドが呆れ顔を浮かべた。


 三人は早速、その夜から行動を開始した。


「とりあえず被害現場を順番に歩いてみよう。

 犯人の足取り、順番などから犯人の意図や考え方が分かるかもしれん」

 シドの提案に三人で夜のブクルルを歩く。


 しばらくしてリラの顔を見た寅二郎が声をかけた。


「どうした、リラちゅわん。元気ないな」


「いえ、犯人は何がしたかったのかなって」


「それは分からねえな。だけど被害者が出てる。

 だからまずは犯人をふん縛る。それからだろ?」


「ええ、そうね」


 しかし、それでもリラの足取りは重い。


 そして、そんな三人を物陰から見ている影があった。


「ふふふ、辻斬り事件の話をしておいて正解だった。

 ああリラ、お前の中にある答え、教えてもらうぞ」


そう言う影は月の光に眼鏡だけが光っているのだった。

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