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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第五章 亜人共和国ルゼリア編
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第三話 仲介はつらいよ②

 次の日の朝、お互いの村の間にある広場に関係者が集まった。

 こちらからはユリエと寅二郎たち、あちらはオクノ村代表とその仲間たち。


「ユリエ、冒険者まで連れてきて本気で争うつもりなのか?」


 オクノ村代表、オミトと名乗った青年が言った。


 オミトはオークらしく全身こげ茶の体毛に覆われ筋肉質ではあったが、細身で丸眼鏡をかけ、どちらかと言えば知的なタイプに見えた。


「ええ、そうよ。いつまでも水源を維持するだけじゃ駄目。

 もっとこの先を見つめて開発するべきなのよ!」


 ユリエの言葉に議論が始まった。


「何故だ?今の生活を保てるのは水源のおかげ。

 何より君たちは代々、開発といっては水源の危機を迎えたではないか!」


 オミトの意見に一瞬口を噤むが、ユリエはすぐに言い返す。


「それはやり方が古かったからよ。

 今なら最新の技術で栄えることが出来るはず!」


 二人のやり取りを聞きながら寅二郎が呟いた。


「何か、聞いたことある気がするな、これ」

「ああ、あれね、確か……」

「“樹のおはなし”だな」


 寅二郎たちはハヤトの村で聞いたお伽噺を思い出していた。


 そうしてしばらく二人の議論を聞いていた寅二郎たちだったが、

 二人の議論が熱を帯び始めたところで、シドが言った。


「すまない。俺はこちらに付くことにした」


 そう言うとシドは、オミトの側に立った。


「ちょっと、シド!」


 リラが焦りの声を上げたが、

 寅二郎はじっとシドの顔を見て黙ったままだった。


「ええ、構いませんよ。

 どちらにせよ、

 代表戦はオミトとトラジロウさんとで争うことになるのですから」


 ヒトノ村とオクノ村との代表戦。人対オークでは差が大きい為、人側は代理を立てられる。過去には重傷者も出たといい、その他の細かなルールを確認し、その場は解散。明日“代表戦”が行われることとなった。


 その夜、ユリエの家では、

「この村の発展のため、代表戦は必ず勝たなくては!」

「任せろ!もっこりちゃんの為、俺頑張る!」

 とユリエと寅二郎は盛り上がるが、


「もう、……シドはどうしてるかな」

 リラは不安な気分になっていた。


一方、オミトの家に泊めてもらうことになったシドは、

「悪いが相手は、トラジロウは強い、大丈夫か?」

「ええ、負けられません。代々守り続けた水源。

 それを守り抜くことこそ皆の幸せなのですから」

「うむ、その意気だ」

 オミトから村の歴史や代表としての気持ち、

 そういったことを聞きながら夜を明かす。


代々守られてきた水源は、

今夜もまた泡が浮かび上がり静かに割れているのだった。

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