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異世界はつらいよ~転生勇者放浪記~  作者: 花京
第五章 亜人共和国ルゼリア編
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第一話 憧れはつらいよ②

 そうして乗合馬車が停まったのは小さな村だった。

 馬車から降りた寅二郎たちが見たのは、門番らしい二人組。

 全身毛に覆われ犬の様な顔をした、獣人たちだった。


「ようこそ旅人よ、ゆるりとして参られよ」


 乗合馬車の身分証を確認した獣人たちに通され、

 寅二郎たちは村へと入った。


「おお、早速会えたな。獣人」寅二郎が声を上げるが、

「そうね、でも何だか……」リラがあたりを見回す。


 確かに周りに見えるのは、人族ばかりだった。


「単にそういう村だということでは?」

 シドが応えた背中から声が聞こえた。


「それはこの村が勇者の末裔の村、だからですじゃ」


 三人が振り向くと、そこには白髪で黒い肌、横に伸びた耳が特徴的なダークエルフの老人が眉を寄せ、困ったような顔をして立っていた。


「失礼、旅の人。私はこの村の長を務める、

 ダークエルフのクロウズと申す者、よろしくの」


「これはご丁寧にどうも」

 寅二郎は頭を下げ、

「馬車の補給の間、しばらくお世話になります」

 リラが笑顔を返す。

「しかし、村長。浮かぬ顔にお見受けするが?」

 シドが村長の顔を見て言った。


「ああ、それはな……」

 村長の話の途中で割り込む者がいた。


「ねぇねぇ旅の人!勇者様の話聞かせてくれよ!」


 三人が振り返ると、

 小さな少年が木刀片手に立っていた。


「帝国から来たんでしょ?勇者様のお話聞かせてよ!」

 元気いっぱい、満面の笑みで少年が言った。


「なんだぁこのガキ。あっち行ってろ!しっしっ」

 寅二郎が追い払おうと手を振ると、

「俺の名前はハヤトだ!この野郎」

 と叫び、ハヤトが寅二郎の脛を蹴る!


「痛ぇ!何しやがる」「この」二人は取っ組み合いのけんかを始めた。


「村長、あの子は?」

 二人の様子を見ながらシドが尋ねた。

「あの子はハヤト。

 この村の子なのですが、旅人を見るとあの様子での。

 悪気はないので許してやってもらえませんか」

 と、苦笑いを浮かべた。


「ええ、こちらの連れこそ、あの調子ですみません」

「ホント、トラジロウって子供なんだから」

 シドやリラと村長が謝りあう中、二人はまだつかみ合っていたが、


「こら!ハヤト。この子はまた人様に迷惑かけて!」


「げ!セイラ姉ぇちゃん!」金髪美女に叱られハヤトが硬直した。


「!、もっこり美女、もしかしてお前の?」

 寅二郎がハヤトを見る。

「そうだ!セイラ姉ぇちゃんだ!」

 ハヤトが震える声で言う。

「おお、もっこりお姉さん。子供のしたことですから」

 はっはっはと寅二郎はハヤトの頭を撫で始めた。


「何だ!いきなり」

 と寅二郎の脛を蹴り続けるハヤトに、


「やめなさい!」セイラの雷が落ちた。


 何故だか寅二郎も含めて、

 しゅんとした二人を横目に見ながらセイラが言った。


「ごめんなさいね、ご迷惑をおかけして。せめて今晩はうちにお泊り下さい。

 小さな村です。よろしければ旅のお話をお聞かせください。あの子も喜びます」


「そうしてやってください」

 と村長にも勧められ、

「大したおもてなしは出来ませんが」

 と言うセイラの後に、寅二郎たちは続くのだった。

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